2|金価格との比較、相対株価(株価とストック指標との比較)

次に株価と金(ゴールド)価格の比率を確認する。

これは円やドルといった特定国の通貨単位ではなく、金という「無国籍通貨」で測った株式の価値という見方ができる。

また、PERやバフェット指標が株価と企業利益や名目GDPといったフロー指標とを比較しているのに対し、ストック指標と比較している(同じ資産価格同士の相対価格比較)と捉えることもできる。

ストック指標との比較では、フロー要因で補足できない要因も確認できる。

例えば、コロナ禍時は、実体経済(企業利益や名目GDP)が供給制約によって一時的に押し下げられたので、PERやバフェット指標というフロー指標対比で見た株価の割高感は強くなりやすかった。

また、政府・中銀による流動性供給もフロー対比で見た資産価格に上昇圧力を生じさせる要因となっていた(いわゆる「金融相場」)。

こうした状況下でも、ストック指標と比較することで、資産価格のうちとりわけ「株式」の価格が押し上げられているのかを判断できる。

コロナ禍時は資産価格全体に上昇圧力が生じていたため、金価格対比で見た株式はそれほど割高にはならなかった。

足もとの株価も金価格対比で見ると、日米欧の中では米国の割高感がやや高いものの、フロー指標で見られたような過熱感は見られない。

また、株価を金以外のストック指標(資産価格等)と比較することもできる。例えば日本株と米国株の相対感を(通貨単位を統一したうえで)比較すると、10年後半以降は一貫して米国株が日本株と比較して上昇傾向にあることが分かる。

他にも、後述するように住宅・不動産価格と比較すれば米国株は足もとの株価がかなり割高であり、通貨量と比較すればITバブル期並みであると言える。

まとめると、米国株は日本株や欧州株と比較して高く、PERやバフェット指標で見ても歴史的な高値となっている。

一方で、金価格と比較すると割高感はそれほど強くなく、少なくとも金価格も同様に高いことから、株価のみが著しく高いとも断言できない状況と言える。