金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)で地域金融力の強化について議論してきた作業部会は、地方銀行の合併・統合への費用補助の上限額30億円の引き上げや、中小地域金融機関が業務の効率化のためにシステムを共同化する際の資金交付などを盛り込んだ報告書案をまとめた。

金融庁のホームページで3日、公表した。4日に開催される作業部会で議論される。

報告書案では2026年3月末に申請期限を迎える資金交付制度について、「合併・経営統合等の事業の抜本的見直しによる経営基盤強化に向けた取り組みを後押ししていくため、期限を延長することが考えられる」とした。

金融庁が入るビル

金融庁は年内をメドに「地域金融力強化プラン」を策定する見通しで、作業部会は9月から地域金融機関が地元企業の成長に果たす役割や、金融機能強化法に基づく地銀などの経営基盤強化策について検討を重ねてきた。

地方経済の活性化は長年の課題だ。人口減少や事業の担い手不足などの課題を抱える地元経済に地域金融機関が果たす役割は大きい。

単なる融資にとどまらず、事業承継など企業が抱える問題への対応や成長企業の発掘、育成が求められている。また、地方の中堅企業が事業を全国や海外に拡大するためには、資本性資金なども必要となり、金融機関は他の事業者との連携も求められる。

一方、地域金融機関も預金減少やサイバーセキュリティーなどさまざまな課題に対応していかなければならず、自らの経営基盤が危うくなると、地元経済への成長支援もままならなくなる。

報告書案の主なポイントは以下の通り

  • 地域金融機関の投資専門会社の株式会社以外への資金供給を可能とする。業務範囲にM&A仲介業務を追加する
  • 資本参加制度の申請期限は、長期的な目線で延長・設定することが適切。災害や感染症のまん延時など資本参加特例の常設化
  • 合併に対する資金交付は上限を現行の30億円から引き上げる。地域経済の持続可能性の確保や金融システムの安定・効率化に特に資すると認められる場合は、上限額を通常よりも引き上げる
  • 地域金融機関の業態を超えた合併については業態内と業態間の合併のイコールフッティングを確保する観点から適切な対応を検討する
  • 単独での効率化に対する資金交付の要件を見直す
  • 中小金融機関が業務の効率化に資するシステム共同化をする際の資金交付の枠組みを整備する

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