スペイン政府は2日、アフリカ豚熱(ASF)の感染確認数がこれまでの2件から9件に増えたと発表した。約30年ぶりに同国で確認されたASF感染は、世界有数の豚肉輸出国であるスペインの出荷を脅かしている。

新たな感染は、先週2頭のイノシシの死骸が見つかったバルセロナ県内の同一地域で確認された。政府は声明で、感染拡大を防ぐため、半径20キロ圏内に防疫区域を設け、特別検査を実施していると明らかにした。

アフリカ豚熱は人には感染しないが、欧州連合(EU)屈指の養豚国であるスペインの畜産業にとって脅威となる。国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、スペインは2023年に84億ドル(約1兆3000億円)相当の豚肉を輸出していた。

感染確認を受けてメキシコや日本などがスペイン産豚肉の購入を一時停止した。スペインは約400の輸出許可証に基づき100カ国以上に豚肉を輸出しているが、そのうち約120件が取り消された。

プラナス農業・漁業・食料相は2日の記者会見で、スペイン国内からのEU域内と中国向けの輸出はバルセロナ県の感染地域を除いて継続されると説明した。政府は獣医師や軍の専門チームを現地に派遣している。

アフリカ豚熱は2014年にEU域内に侵入して以降、現在までに13の加盟国で確認されている。EU規則に基づき、加盟国は感染地域での防疫・根絶措置を講じる義務がある。

 

原題:Spain Reports New Swine Fever Cases as Crisis Threatens Exports(抜粋)

--取材協力:Rodrigo Orihuela、Nayla Razzouk.

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