マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏が創設した原子力企業、米テラパワーは米ワイオミング州で進める次世代原子炉建設計画の主要な規制手続きが予定より6カ月前倒しで完了したことから、来年4-6月(第2四半期)までに着工する計画だ。

テラパワーのクリス・ルベスク最高経営責任者(CEO)は2日のインタビューで、来年2月までに米原子力規制委員会(NRC)の建設許可が出ると見込んでいると語った。NRCは10月に環境影響評価書を完成させ、今月1日に同計画の安全審査も終了した。同社にはゲイツ氏も出資している。

想定を上回るスピード審査は、電力需要急増に対応するため原子力発電の普及拡大を後押しするトランプ米大統領の取り組みに沿うものだ。トランプ氏は、業界から大きなボトルネックと見なされているNRCの承認プロセスの簡素化を求めている。

ルベスク氏は「これは大きなゴーサインだ」と述べ、「来年の早い時期に着工できるとみている」と語った。

テラパワーは先進的な原子炉設計を手がける企業の一つで、ワイオミング州で建設を計画している核分裂炉は冷却材に液体ナトリウムを使用し、エネルギー貯蔵システムに溶融塩を用いる設計となっている。2031年の商業運転を予定している。

一方で、迅速な審査プロセスには専門家から疑問の声も上がっている。憂慮する科学者同盟(UCS)の原子力安全ディレクター、エドウィン・ライマン氏は電子メールで、「これほど短期間で審査を終えられる唯一の方法は、未解決の深刻な安全問題を棚上げするか、見て見ぬふりをすることだ」と指摘した。

原題:Gates-Backed Nuclear Developer Nears Construction on Reactor (1)(抜粋)

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