東京エレクトロン株は3日、一時前日比5.8%高の3万3110円と11月17日以来の日中高値を付け、同4.8%高の3万2780円で取引を終了した。台湾検察当局が2日、台湾積体電路製造(TSMC)から営業秘密を盗んだ疑いで東京エレクトロンの台湾子会社を起訴したが、同社に与える影響は限定的との見方が広がった。

台湾検察当局によると、東京エレクトロンに対し、営業秘密保護法や国家安全保障法違反など複数の罪状で起訴したと発表した。盗難防止義務を怠ったなどとして東京エレクトロンに罰金支払いを命じるよう地方裁判所に求めている。罰金額は1億2000万台湾ドル(約6億円)。一方、同社がTSMCの独自データを利用した点については起訴しなかった。

 

東京エレクトロンは3日、法令遵守や倫理基準の徹底を経営の最重要事項と位置付けており、今回の事態を極めて厳粛に受け止めるとの声明を出した。組織的な関与や機密情報の外部への流出は確認されておらず、業績への影響もないとしている。

岩井コスモ証券アナリストの斎藤和嘉氏は、監督責任を問われて起訴されたことは「想定内で、金額自体も小さい」と説明。株式市場はあまり材料視しておらず、2日の米国株式市場の好感の方が影響が大きかったはずだと指摘した。

今回の起訴は、TSMCから知的財産を盗む共謀容疑で、8月にTSMCや東京エレクトロンの元社員ら3人が逮捕、起訴された事件に続くものだ。台湾では世界最先端半導体の大半が生産されており、台湾検察当局は自国の半導体製造技術保護のため、監視の目を強めている。

(株価を更新し、東京エレクトロンの発表内容を追加しました)

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