多くの企業がウェルスアドバイザーを人工知能(AI)で置き換えようとしている中、英フィンテック企業レボリュートの元幹部、マーク・スワン氏は人間の役割は今後も残ると見ている。

議事録作成から口座開設まで、煩雑な事務作業こそ自動化に適していると考える同氏は、ウェルスアドバイザーの業務負荷を軽減するAIを提供するスタートアップ、ネヴィスを立ち上げた。同社はベンチャーキャピタル(VC)大手のセコイア・キャピタルなどから4000万ドル(約62億2500万円)の資金を集めた。

「ロボはアドバイザーの代替にならない。AIはアドバイザーの代替にならない」と、共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるスワン氏(27)は述べた。「私はその考えを絶対に曲げない」と強調した。

ネヴィスが最近クローズした3500万ドルの調達ラウンドでは、セコイアに加えアイコニック・キャピタル、リビット・キャピタルなどが出資。企業価値は2億ドルと評価された。最初のラウンドではセコイアが500万ドルを提供していた。

「AI時代到来は、ウェルスマネジャーやアドバイザーにとって最も重要な仕事である顧客との対応に、人間が時間を割けるようにする機会となった」と、マルチファミリーオフィス兼投資会社のアイコニックでゼネラルパートナーを務めるセス・ピエレポント氏は述べた。

スワン氏はレボリュート在籍時に出会ったイワン・チャロフ、フィリップ・バーダ両氏と組み、昨年末にネヴィスを立ち上げた。

ネヴィスのサービスは、米国のウェルスマネジメント業界が直面する問題の解決にもつながる。生産性が現状のままなら業界が2034年までに10万人のアドバイザー不足に陥るとマッキンゼーが予測している。米国人の資産は過去最高水準にあり助言需要は高まっている。一方で、同社の2月のリポートによれば、アドバイザーは引退が採用ペースを上回っている。

スワン氏は、生産性を引き上げ、追加人員を増やさずにアドバイザーの対応能力を広げることで、この供給ボトルネックを解消したい考えだ。

同氏によれば「ウェルスマネジメントはパフォーマンスだけだと思う人がいるが、それは単純過ぎる」。「実際にはサービスの比重が大きく、顧客は人生の最も重要な局面を一緒に考えてくれるアドバイザーを求めている」と同氏は説明した。

ネヴィスの現行ソフトウエアは、ミーティング要約の生成、フォローアップタスクの作成、パーソナライズされたメールの下書きなどを数秒で行える。来年初めまでには、カストディー口座の開設など、より多くのオペレーション業務にも拡大する計画だ。

現時点では、米国の登録投資顧問(RIA)を主なターゲットとしており、ユナイテッド・キャピタル・フィナンシャル・アドバイザーズ、アポロン・ウェルス・マネジメント、GCウェルスなど約10社と契約している。料金は運用資産残高に基づく年間手数料制だ。現在、顧客企業の合計運用資産は500億ドルだが、スワン氏は来年初めには1000億ドルに達すると見込んでいる。

原題:Sequoia Bets on AI Startup to Ease Wealth Advisers’ Grunt Work(抜粋)

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