28日の米国株は薄商いの中で上昇し、5営業日続伸となった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で発生した技術的障害の影響で、通常取引前の時間外取引では混乱が広がっていた。

S&P500種株価指数は史上最高値に迫った。この日は米東部時間午後1時までの短縮取引で、出来高は過去30日平均をおよそ25%下回った。これに先立ち、CMEではデータセンターの技術的問題が複数の市場に影響し、取引が長時間停止していた。2019年にも技術的な不具合により数時間ほど取引が停止したが、今回はそれ以上に長く続いた。

個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムが1.8%高、ウォルマートは上場来高値に上げた。またインテルは10%を超える上昇となった。アップルのMプロセッサーについて、インテルが最も低価格帯を手がけ、2027年にも出荷を開始する可能性があるとのアナリストのコメントが追い風となった。

終日取引が続いていた外国為替市場では、EBSプラットフォームが米東部時間午前7時に再開した後も大きな変動は見られなかった。

リクイドネットの執行・クオンツサービス担当責任者、ダニエル・ヌーリアン氏は「感謝祭の休暇明けで、米経済指標の発表もないことから、一見するとそうした状況が市場への影響を和らげている可能性がある」と述べた。

施設運営会社サイラスワンによると、CMEでの障害は、シカゴ地域のデータセンターにおける冷却システムの故障が原因だった。

資産運用会社MPPMのトレーディング責任者、ギレルモ・ヘルナンデス・サンペレ氏は「市場参加者の間では生じ得る価格差を利用する動きもあるだろう」としつつ、「損失につながるリスクがあるため、大半は問題が解決するまで取引を控える」と述べた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が当初の想定より速いペースで利下げに動くとの期待を背景に、米国株は月末にかけて上昇が続いた。

S&P500種は11月、テクノロジー株の過熱感に対する不安から荒い値動きも見られたが、今週は堅調に推移し、週間の上昇率は5カ月ぶりの大きさとなった。月間ベースではこれで7カ月の値上がり。一方、大型テクノロジー銘柄からディフェンシブ業種へのローテーションが見られ、テクノロジー銘柄の比率の高いナスダック100指数は月間ベースで3月以来の下落となった。

ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」のトム・エッセイ氏は、「現時点では経済データがソフトランディングを裏付けており、それが感謝祭前までの株高を支えた」と記述。一方で、「足元では経済に関して多くの不確実性が残っており、ここ数カ月の政府統計の不足を踏まえると、経済は投資家が考えるほど強くない可能性がくすぶっている」とも指摘した。

今後の経済指標が期待外れな内容となれば、12月はリスク回避の資金フローが生じる可能性があると、エッセイ氏は指摘。市場では来週、チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによる人員削減データやADPの民間雇用者数、米連邦準備制度理事会(FRB)が注目する個人消費支出(PCE)統計に注目が集まりそうだ。

米国債

米国債は下落。利回りは中期ゾーンを中心に、年限全般で約1.5-3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。米国債市場は午後2時までの短縮取引だった。

この日の取引は、CMEのシステム障害で遅れた。もっとも、値動きは一日を通じて限定的だった。

為替

ニューヨーク外国為替市場でドル指数は小幅安。週間では6月末以来の大幅な下げとなった。感謝祭明けで薄商いだったほか、CMEで発生した障害も流動性に影響した。

クレディ・アグリコルの為替ストラテジストらはリポートで、「市場は現在、12月の米利下げを織り込んでおり、ドルを下支えするには経済データの上振れが必要になる」と記した。

円は対ドルで小幅に上げ、ニューヨーク時間午後は1ドル=156円台前半で推移。朝方には一時155円99銭を付けた。

 

原油   

ニューヨーク原油先物相場は下落。今週末に開かれる石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスの会合を見据えつつ、ウクライナやベネズエラなど地政学情勢の緊張が緩和した場合の影響も意識された。月間ベースでは4か月連続のマイナスと、2023年3月以来の長期下落局面となった。

CMEが運営するニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、数時間にわたる取引停止や感謝祭の祝日に伴う薄商いで荒い動きとなった。引け間際にトランプ米大統領とベネズエラのマドゥロ大統領が先週の電話協議で、会談の可能性について話し合ったとの米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道が伝わり、日中安値をつけた。

トランプ政権と産油国であるベネズエラの緊張緩和が進めば、原油価格に織り込まれている主要なリスクプレミアムが削がれることになる。

 

OPECプラスは30日にオンライン会合を開き、2026年初頭の石油増産停止決定を維持する見込みだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。同日の会談の主な焦点は、加盟国の生産能力に関する長期的な見直しになるという。

ウクライナ情勢を巡っては、戦争終結に向けたトランプ氏の提案は将来の合意の基盤になり得るが、最終的な案はまだ存在していないと、ロシアのプーチン大統領が前日に発言。一方で、協議に応じる用意があることを示唆した。米国のウィトコフ特使が来週モスクワを訪問する見通しだ。

和平交渉は他の障害にも直面している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、イェルマーク大統領府長官が辞任したと発表した。イェルマーク氏はゼレンスキー氏の最側近で、和平交渉の責任者を務めてきたが、汚職疑惑が降りかかっていた。

エネルギー市場分析会社XAnalysts Ptyの創業者で最高経営責任者(CEO)のムケシュ・サーデフ氏は、「ウクライナとロシアの和平合意が成立するまでには時間がかかる可能性がある。ロシアは原油の売却を急ぐのではなく、一定量を貯蔵する方向に動くかもしれない」と指摘。その結果、期近物の価格は足元で強含む可能性があるものの、その後は弱含みに転じるとの見方を示した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は、前営業日比10セント(0.2%)安の1バレル=58.55ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は0.8%安の62.38ドル。1月限はこの日が最終取引だった。

金スポット相場は上昇。CMEグループでの取引停止を受けて、欧州時間から米東部時間の朝方にかけては乱高下する場面もあった。

米国の先物取引は再開されたが、CMEが運営するニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物やオプションなど市場全体の取引が影響を受けた。一部のトレーダーはエクスポージャーをヘッジするため、この日はブローカーやディーラーに電話するという昔ながらの方法に戻ったと明かした。

サクソ銀行のストラテジスト、オーレ・ハンセン氏は「貴金属トレーダーは先物を利用して現物市場の取引を相殺またはヘッジするため、現物市場と先物市場は密接に関連している。そのルートが機能停止となると、スプレッド拡大と取引減少を通じ、現物市場も打撃を受ける」と指摘した。米国では前日の感謝祭の祝日と週末に挟まれたタイミングで、元々閑散となる日だったことも、状況を悪化させたという。

金は週間ベースでは約3.8%上昇。10月に最高値を更新した後、月間でも4カ月連続高となった。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者による一連の発言や延期されていた経済指標の公表が、利下げ観測を後押ししている。利息を生まない金は、金利低下の局面で恩恵を受けやすい。

 

金スポット相場はニューヨーク時間午後2時4分現在、前営業日比62.95ドル(1.5%)高の1オンス=4220.56ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は52.60ドル(1.25%)上げて4254.90ドルで引けた。

CEMグループの混乱を背景に、銀と銅の価格はそれぞれ最高値を更新した。

原題:Stocks Rise After CME Mess, Erasing November Loss: Markets Wrap(抜粋)

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--取材協力:Subrat Patnaik、James Hirai、Sujata Rao、Macarena Munoz Montijano、Christian Dass.

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