(ブルームバーグ):メタ・プラットフォームズやアルファベットなど米大手テクノロジー企業による大規模な社債発行がクレジット市場で供給過多を生み出しているとの懸念が浮上している。だが、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)主催の欧州クレジット市場見通し会議のパネリストからは、そうした懸念は時期尚早だとの見方が相次いだ。
テック企業は最近、生成AI(人工知能)関連の大型投資に対応するため、欧米の両市場で起債に動いている。こうした社債市場の急拡大が今後、急激な売り圧力につながりかねないとの不安が出ている。
ロンドンで27日開かれた同会議で、JPモルガン・アセット・マネジメントのイアン・スティリー国際債券部門最高投資責任者(CIO)は、最近の発行増で「多少のショックと一時的な消化不良が生じた」と述べ、結果的に投資適格債のスプレッドが約10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大したとの見方を示した。だが懸念は行き過ぎだと指摘した。
「確かに発行が多かったが、これらは毎年莫大(ばくだい)な利益を生み出す巨大企業の案件だ」とし、「まだ過度に懸念すべき段階にはない。最近の案件ではコンセッション(企業が投資家に提供するプレミアム)も見られ、発行体の質の高さを考慮すれば投資機会として非常に魅力的だ」と語った。
また同氏は、今後の発行はもっと均等なペースで分散されるとの見通しを示し、「メタは次の発行を来年下期まで実施しない見通しを示唆している」と分析した。
BIのクレジット戦略グローバル責任者、マヘシュ・ビマリンガム氏も、大手テック企業は総じて負債が少なく、信用の面で魅力的だと述べた。アルファベットの格付けはフランスより高く、アップルやマイクロソフトなども欧州市場で起債すれば高格付け銘柄の中でも際立つ存在になるとみている。
「これら企業が登場すれば、需要は膨大なものになるだろう」と述べた。
会議ではクレジット市場全般に対する強気の見方が示された。利回り水準の高さや健全なバランスシートが2026年に市場を下支えするとの指摘が相次いだ。
BNYインベストメンツ・ニュートンのグローバル高利回りポートフォリオマネジャー、アシュウィン・パルタ氏は「利回りは依然として非常に魅力的であり、質を高める戦略が理にかなう。リスクに見合った十分なリターンが得られている一方、低格付け銘柄はスプレッドが不十分で、よりリスクの高い領域に踏み込む妙味はない」と論じた。
原題:Credit Market Can Handle Tech’s Debt Deluge, BI Panelists Say(抜粋)
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