米国と中国のテクノロジーリサーチにおける協力が20年ぶりの低水準に落ち込み、安全保障と経済成長に不可欠な世界のイノベーション(技術革新)構造を変えかねない。オーストラリアのシンクタンクがこう警告している。

豪戦略政策研究所(ASPI)の「クリティカル・テクノロジー・トラッカー」によると、中国の協力全体のうち米国の研究者が関与する割合は25%と、10年前の5割余りから低下した。

この調査は74分野にわたり700万本超の論文を分析したもので、ASPIが26日公表したリポートによれば、共同研究の強度、つまりアウトプット(論文)全体に占める共著の比率は2005年の水準まで後退した。

こうした変化は、中国が世界の研究アウトプットの40%近くを生み、最重要テクノロジーの大半を主導するようになった時期と重なる。これまで二大経済大国の協力は、ゲノミクスや地震監視、エネルギー効率、農業生産性など幅広い分野で進展をもたらしてきた。

 

トラッカーはまた、カナダと豪州、オランダなど米国の同盟国と中国との協力も減少し、一方で、中国の研究者がパキスタンやサウジアラビア、ベラルーシといった国々との連携を深めていることを示している。

05年にはほぼ協力実績がなかったパキスタンは、ナノ材料研究を背景に19年には中国にとって7番目に重要な研究パートナーへと浮上した。サウジアラビアは05年の46位から24年には8位に上昇し、ベラルーシも41位から20位に順位を上げた。

「二極化のリスクは、民主主義国家が中国の研究へのアクセスを失うことだけではなく、世界の技術開発を方向付ける能力を失うことにある」とリポートを執筆したスティーブン・ロビン氏は指摘。「その結果を回避するには、新たな条件に基づき、信頼できるネットワークを軸にしたリカップリング(再結合)が必要だ」と呼びかけた。

米中の研究協力が減少し始めたのは、米司法省が18年に「チャイナ・イニシアチブ」を開始し、知的財産窃取や技術移転の抑制を目的に国家安全保障上の審査を強化したことがきっかけだった。22年に当時のバイデン政権がこのイニシアチブを取りやめたものの、さまざまな制限は続いている。

米議会では現在、チャイナ・イニシアチブを復活させ、共同研究に対する包括的な禁止措置を講じる案が検討されている。先端材料や製造、通信を含む64分野のうち57分野で中国が主導的地位を固める中で、イニシアチブ復活となれば、デカップリング(切り離し)の動きがさらに加速することになる。

原題:US-China Tension Fuels Decoupling in Tech Research, Study Shows(抜粋)

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