人工知能(AI)チップの開発競争でアルファベット傘下のグーグルがエヌビディアに匹敵する存在となり得るとの見方が広がっている。

メタ・プラットフォームズがグーグルのAIチップを数十億ドル規模で導入する方向で協議しているとのテクノロジーニュースサイト、ジ・インフォメーションの報道で、アルファベットの株価は騰勢を強めている。

メタとの取引が成立すれば、グーグルのAIチップの勢い加速に加え、長期的にエヌビディアの市場支配力に挑む潜在力を持つことを示すシグナルとなりそうだ。グーグルはこれに先立ち、AIスタートアップのアンソロピックに対し、最大100万個のチップを供給する契約を結んでいる。

25日序盤の米株式市場で2%余り上昇。時価総額は3兆9000億ドル(約608兆円)と、4兆ドルの大台に迫った。一方、エヌビディア株は5.5%安となり、時価総額2430億ドルが吹き飛んだ。

アルファベットを巡っては、最新のAIモデル「Gemini(ジェミニ)」を高く評価する声が足元で相次いだ。今回のAIチップ需要拡大の兆候も追い風となっており、テクノロジー業界の勢力図や株式市場の主役銘柄を見直す動きも出ている。

報道によると、メタは2027年に自社データセンターでグーグルの半導体「テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)」を使用する方向で協議を進めている。メタは来年にグーグルのクラウド部門からチップをレンタルする可能性もあるという。

 

合意が成立すれば、TPUはエヌビディア製チップの代替として地位を固めることになる。エヌビディアのチップは、メタやOpenAIなどの大手テック企業やスタートアップがAIプラットフォームの開発・運用に必要とする計算能力を確保するうえで「業界標準」とされている。

シーポートのアナリスト、ジェイ・ゴールドバーグ氏はアンソロピックとの契約について、「TPUにとって非常に強力な裏付けだ」と述べている。「多くの企業がすでに注目していたが、今回の件でさらに関心が高まるだろう」と語った。

メタの広報担当者はコメントを控え、グーグルもコメント要請に直ちには回答しなかった。

25日のアジア市場ではアルファベット関連銘柄が上昇。韓国ではアルファベットに多層基板を供給するイスペタシス(IsuPetasys)が一時18%高となり、日中の最高値を更新。台湾では聯発科技(メディアテック)が約5%上昇した。

世界でも有数のデータセンターおよびAI開発投資企業であるメタとの契約はグーグルにとって大きな成果となる。ただ、TPUが長期的に有力な選択肢として定着できるかどうかは、その電力効率と計算能力がどこまで実証されるかにかかっている。

TPUは10年以上前にAI処理用として開発された。グーグルの自社アプリケーションにおけるAIや機械学習処理のアクセラレーターとして進化してきたが、現在では複雑なAIモデルの学習や実行を支える手段として、自社利用を超えて注目を集めている。

原題:Nvidia-Google AI Chip Rivalry Escalates on Report of Meta Talks、Alphabet AI Chips, Gemini Model Position It to Rival Nvidia (1)(抜粋)

--取材協力:Riley Griffin、Carmen Arroyo.

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