(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインが急落し、相場は危険な局面に入った。オプション取引を背景とする売りがボラティリティーの増大に拍車をかけている。
ビットコインは21日の取引で一時7.6%安の8万553ドルまで値を下げた。今月に入っておよそ25%の下落となり、2022年にステーブルコイン「テラUSD」の運営会社とFTXが破綻して以来の大幅安で11月を終える見通しだ。当時は業界全体で企業破綻が相次いだ。
今回の下落は主に現物売りが要因だ。大型の上場投資信託(ETF)からの資金流出、長期間動いていなかったウォレットによる保有資産の売却、モメンタム投資家の需要減退などが重なった。
一方で、オプション取引のポジションも変動を拡大させている。ビットコインが特定の価格水準を割り込むと、ディーラーが中立を保つためにヘッジを調整する必要性が生じ、この「ガンマ・エクスポージャー」と呼ばれる過程が価格変動を増幅する。
重要な水準の一つである8万5000ドルは、21日にすでに下抜けた。この行使価格にはプットオプションの需要が集中しており、マーケットメーカーは大規模なエクスポージャーをヘッジする必要に迫られていた。こうした局面では、ディーラーは一般に「ショート・ガンマ」の状態にあり、バランスを保つためにビットコインをさらに売る傾向がある。これが下落をさらに加速させる構図だ。
これらの企業は高頻度取引を行う流動性の供給者であり、価格変動に応じてポジションを調整し、中立を保とうとする。しかし、取引が集中する行使価格を割り込むと、そのヘッジの動き自体がテクニカルな引き金となって作用する場合がある。
次の重要水準は8万ドルだ。オプションモデルによると、この水準でヘッジの力学が反転する。8万5000ドル付近ではディーラーは「ショート・ガンマ」の状態にあり、価格下落に伴うリスク増大により売りを強める必要があった。
一方、8万ドル付近では「ロング・ガンマ」に転じる。具体的には、さらなる下落でリスクが低下し、バランス維持のためにビットコインを買い戻す必要が出てくる。この反転により、売りの勢いが幾分和らぐ可能性もある。

原題:Bitcoin Drop Hits Market Makers in Fragile Trading Landscape (1)(抜粋)
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