(ブルームバーグ):トランプ米政権は20日、カリフォルニアとフロリダ、アラスカの沖合で新たな海域を対象とした原油掘削の計画案を発表した。原油・天然ガス権益の販売を大幅に拡大する内容で、エネルギー開発の大きな転換を示している。
内務省が公表した草案は、最大34件の海上リース販売を提案。その内訳はアラスカ沖21件、太平洋岸6件、メキシコ湾7件で、フロリダやアラバマ近海といった30年間掘削が禁じられてきた海域も含まれる。
南部の共和党指導者の間では、漁業や観光など重要産業に深刻な影響を与えかねない原油流出への懸念から、こうした海域での掘削に反対する声が長らく根強い。
計画案が実現すれば、沿岸部10億エーカー(約405万平方キロメートル)超が掘削対象となる大規模なエネルギー探査拡大となる。
米石油協会(API)はこの計画を「歴史的」と評価した一方、環境団体の天然資源保護協議会(NRDC)は大手石油会社への「無謀」な譲渡だと批判した。
この提案は、2024-29年に3回の入札しか予定していなかったバイデン前政権下の計画を置き換えようとするもの。最終決定までに、数カ月にわたる一般からの意見募集や審査を経て修正される見通しだ。計画発表前の段階で、大西洋での掘削は南東部の共和党員が反対し削除された。
今回の提案は、内務省の海洋エネルギー管理局が策定。トランプ氏が掲げる国内エネルギー生産拡大方針を反映している。
アラスカ近辺のボーフォート海とクック湾、チュクチ海のほか、アラスカ沖から約200マイル(約320キロ)離れた北極圏の未開発海域も初めて対象に含まれる。この地域は環境的に極めて脆弱(ぜいじゃく)だと環境団体が警告している。
環境団体や西海岸の議員はトランプ政権の計画に対し、法的措置の検討を含め強い反発を示している。カリフォルニア州のニューサム知事は西海岸での新たな掘削権販売について「最初から廃案だ」と述べている。
原題:Trump Plan Targets Florida, California for Coastal Oil Drilling(抜粋)
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