為替市場では円が対ドルで10カ月ぶりに157円台に下落している。日本の通貨当局は円安に歯止めをかけるため、2024年7月以来となる為替介入の検討を迫られるとの観測が高まりそうだ。

日本政府は昨年、円相場が160円前後で推移していた局面で4回にわたり介入を実施した。この水準が介入に踏み切る目安と市場に示した。

それでも日本の通貨当局者は、介入の水準があることを否定し、むしろ急激で無秩序、あるいは投機的な動きこそが対応を要する事態だと説明している。

日本の当局者は、為替市場に直接介入する前に、慣例として慎重に選んだ言葉で市場に警告を発し、実際の行動にどの程度まで近づいているのかシグナルを送る。

片山さつき財務相は10月の就任以来、前任の加藤勝信氏や鈴木俊一氏が使ってきた用語をおおむね踏襲している。通貨政策を担う三村淳財務官も、24年7月までの3年間に25兆円規模の資金を投じて円を買い支えた前任の神田真人氏の方針を引き継いでいる。

当局者が警戒態勢を強めていることを示す重要なサインの一つは、発言が為替市場の状況説明から、措置を講じるといった内容に変わる時だ。過去には介入前に「断固たる」措置を取るといった警告を発した。

通貨当局が強い懸念を示すようになる前の段階では、20カ国・地域(G20)の方針に沿った次のような発言にとどまる傾向がある。

  • 為替は経済のファンダメンタルズを反映するのが望ましい
  • 急激・急速な為替変動は望ましくない
  • 為替レートの過度な変動は経済に悪影響を及ぼす
  • 為替レートは市場において決められる

警告を発する前に、通貨当局は特定の為替水準を目標としていないことを明確にすることが多い。

為替変動が大きくなり始める

  • 為替動向が経済に与える影響を注視している
  • 為替市場の動向を注視している

懸念が強まり警戒感へと変わる

  • 円安のマイナス面が目立ってきている
  • 足元では一方的、急激な動きが見られる
  • 為替動向を憂慮している
  • 投機的な動きを含めて為替動向を高い緊張感を持って注視する

介入への警告

  • 為替レートは経済のファンダメンタルズを反映していない
  • 投機による過度な変動が見られる
  • 円安が急速に進んでいる

介入が迫る

  • 必要であれば適切な措置を講じる
  • 投機的な動きは容認できない
  • 行き過ぎた相場の動きに対してはあらゆる措置を排除しない
  • いつでも行動を取る準備ができている/スタンバイしている
  • 断固たる措置を取る用意がある

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