(ブルームバーグ):人工知能(AI)分野の先駆者でありメタ・プラットフォームズで研究所を率いるヤン・ルカン氏は、年末に同社を退社し新会社を立ち上げると従業員に伝えた。ブルームバーグがメモを確認した。
メタの同僚に共有されたメモによれば、同氏は19日に退社を発表した。ルカン氏は2013年からメタに在籍している。
事情に詳しい複数の関係者によれば、メタはルカン氏のスタートアップと提携する計画だ。詳細は最終調整中という。ルカン氏はメモで、メタが「新会社のパートナーとなり、その技術革新にアクセスできる」と説明した。
ルカン氏は、「アドバンスト・マシン・インテリジェンス(AMI)」と同氏が呼ぶ分野に焦点を当てた新会社を立ち上げる。AMIは、視覚やその他の感覚の情報によって訓練するAIを指す。
ルカン氏はメモで、「このスタートアップの目標は、AIにおける次の大きな革命をもたらすことだ。物理世界を理解し、持続的な記憶を持ち、推論し、複雑な一連の行動を計画できるシステムだ」とした。
またこの技術は「経済の多くの分野で広範な応用可能性を持ち、その一部はメタの商業的利益と重なるが、多くはそうではない」とも説明した。
メタの広報担当者はルカン氏の退社を確認した。ルカン氏はコメントの要請にすぐには応じなかった。
ルカン氏はAI業界の「ゴッドファーザー」の1人として知られる。メタでの職務は長期的なAIの研究に重点を置いており、その多くは一般消費者の体験に反映されるまでに数年、あるいは数十年を要する見込みだ。
事情に詳しい複数の関係者によれば、同氏はメタ社内で自らのプロジェクトに必要なリソースを得るのに苦労していた。メタはOpenAIやアルファベット傘下のグーグル、アンスロピックなど競合他社からの脅威に対抗するためにモデル構築への集中を強めていたという。
ルカン氏はまた、AIシステムを人間レベルの知能に到達させる手段として、メタや他のAI企業が、大規模言語モデル(LLM)に焦点を当てる戦略を取っているのは誤りだと主張。「ワールドモデル」と呼ばれる手法の方がより優れた戦略だと論じていた。
メタの主要なAIモデル「Llama(ラマ)」やOpenAIの「ChatGPT」は、LLMに基づいている。関係者によれば、ルカン氏がメタの戦略を公然と批判したことが、社内で他の関係者との対立を招いたという。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先に、ルカン氏によるスタートアップ設立の計画について報じていた。
原題:Meta AI Pioneer LeCun Announces Exit, Plans New Startup (1)(抜粋)
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