日本銀行の植田和男総裁と片山さつき財務相、城内実経済財政担当相は19日夜、都内で会談を行った。3者は市場動向を注視し、対話を重ねていく方針を確認した。会談後に円安が進み、対ドルで156円台を付けた。

片山財務相は会談後、記者団に対し、「市場動向について高い緊張感を持って注視するとともに、市場と丁寧にコミュニケーションを取っていくことを確認した」と語った。

会合の趣旨については、高市早苗政権が発足して政府の体制が変わったため、「経済政策運営に当たって政府と日銀が緊密に連携していく観点」から、植田総裁と城内経財相に会談を呼び掛けたと説明した。足元で円安や金利上昇が続く中、新政権と日銀の協調姿勢を明確にした。

会談では為替について具体的な話は出なかったという。金融政策に関しては、植田総裁から「今まで通りの方針の説明があった」と明かした。

 

円は対ドルで2月以来の安値付近で推移した後、3者会談の報道を受け、介入警戒から155円台前半にやや上昇。だが、会談後の片山財務相の発言を受けて下げに転じ、1月以来の安値水準となる156円台前半を付けた。

クレディ・アグリコルCIBのシニア為替ストラテジストであるデビッド・フォレスター氏(シンガポール在勤)は、「片山氏の発言が円売り圧力を強めている。とりわけ片山氏が政府と日銀の共同声明(アコード)に修正を加える方針を示した点が注目される。修正の中身は現時点で明らかではないが、当社のエコノミストはこれまでに、日銀のインフレ目標を『2%』から『2%程度』に政府が緩和する可能性を指摘していた」と述べた。

債券市場では、長期金利の指標となる新発10年債利回りは一時1.775%と2008年以来の高水準を付けた。政府が近く取りまとめる経済対策の規模が膨らむことなどが意識されている。

経済対策の規模について片山財務相は、折衝中のものがあるとして詳細は控えた。

植田総裁は18日、高市首相と初めて個別会談し、追加利上げに関して今後のデータ・情報次第で適切に判断していくとの見解を示した。高市首相から金融政策への要請は「特になかった」という。

高市首相は植田総裁との会談で、政府と日本銀行の共同声明の中で「日本経済再生本部」と記載された組織名を、現在の「日本成長戦略本部」に修正したい考えを表明。この点について、片山財務相は表記の修正に向けて了解を得たと話した。

日銀総裁と経済閣僚の対面会談は、24年10月の石破茂政権発足後にも実施していた。

(第6段落にアナリストのコメントを挿入します)

--取材協力:鈴木克依、Naomi Tajitsu.

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