英銀バークレイズの元最高経営責任者(CEO)で、現在は投資会社アトラス・マーチャント・キャピタルを率いるボブ・ダイアモンド氏は、最近の世界市場の混乱について「健全な調整」に過ぎないとの見方を示した。技術変化の影響をどう評価すべきか、投資家が模索している段階だと指摘した。

ダイアモンド氏は「リスク資産の再評価が進んでいる」と述べ、「私の感覚では、これは健全な調整であり、弱気相場に転じるようなものではない」と語った。

S&P500種株価指数は今月に入り3%余り下落しており、3月以来最悪の月となる可能性がある。ボラティリティー(変動性)も急上昇している。人工知能(AI)が巨額のインフラ投資に見合う収益や利益を生み出しているのかどうか議論される中で世界の主要ハイテク銘柄の売りが再燃している。

ボブ・ダイアモンド氏

ダイアモンド氏はシンガポールで開かれたブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラムの会場で、ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。

同氏は「AIの影響を2年、3年、5年というスパンで見ることに安心感を覚える」とした上で、「AIはインフレ抑制にとって非常にプラスの要素となり、世界経済の生産性向上の面でも極めて重要になるだろう。一部の投資家は現在のバリュエーション(企業価値評価)に戸惑っているようだ」と語った。

同氏はまた、財政支出の拡大によって各国政府の債務残高が膨らんでおり、これが市場に垂れこめる「暗い雲」となっていると述べた。米国の恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は24を超え、投資家の警戒水準とされる20を上回ってこの1カ月で最高水準に達している。

原題:Bob Diamond Sees Healthy Correction, Not Bear Market Precursor(抜粋)

--取材協力:Avril Hong、Andy Clarke、Joanne Wong.

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