(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長は19日、相場はさらに下落する可能性があるとの見方を示した。
ウォルドロン氏はシンガポールで開かれたブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラムの会場でインタビューに答え「市場はここからさらに調整する可能性があるように思われる」と語った。「テクニカル面では、より防衛的で下方向へのバイアスが強まっていると思う」と語った。
S&P500種株価指数は今月に入り3%以上下落し、3月以来で最悪の月となる見通しだ。ボラティリティーも急上昇している。世界の主要ハイテク企業の株が売られる中、人工知能(AI)への巨額投資が、十分な収益や利益を生み出しているのかどうかを巡る議論が再燃している。

ウォルドロン氏は「現在の市場の調整は健全だと思う。今年に入って相場はかなり上昇してきた」と述べた。さらに「市場はAIの動向に強く注目している。投資された資本が市場の期待どおりのリターンを生むのか、それが既に株価に織り込まれているのか。これが大きな議論になっている」と語った。
ウォルドロン氏は、市場の下落が続いてもその幅は限定的だとみている。「ここからさらに大きく下がるとは思わない」と述べた。
信用市場のリスクについての質問には、ウォルドロン氏はサブプライムローン市場を取り上げ「経済の中で最も脆弱(ぜいじゃく)な部分は低所得層の消費者だと思う。そして、サブプライム領域には多くの融資が行われてきた」と語った。
融資の審査基準に緩みが見られ始めているとも指摘したが、それが信用危機を意味するわけではないと述べた。「経済が持ちこたえれば、信用市場は問題ない」と語った。
アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)も同様に楽観的な見方を示した。フォーラムでのパネル討論会で「システミックな問題は何も見受けられない」と語った。
関税や高金利の影響が経済に浸透しつつあるが、信用関連のデータは「悪化ではなく改善している」と主張した。
「だからといって、景気循環の終盤にありがちな銀行の(高リスク)行動が起きないという意味ではない」と付け加えた。
一方、アルジェブリス・インベストメンツ創業者兼CEOのダビデ・セラ氏は、AIに弱気な見方を示し、世界の主要テクノロジー企業への投資配分を減らすよう投資家に助言した。
「かなり大きな調整が起きる可能性が高い」と同氏は19日午前に語った。
英銀バークレイズの元CEOで、現在は投資会社アトラス・マーチャント・キャピタルを率いるボブ・ダイアモンド氏も同じフォーラムに参加。会場でのインタビューで、最近の世界市場の混乱について「健全な調整」に過ぎないとの見方を示した。技術変化の影響をどう評価すべきか、投資家が模索している段階だと指摘した。
ダイアモンド氏は「リスク資産の再評価が進んでいる」と述べ、「私の感覚では、これは健全な調整であり、弱気相場に転じるようなものではない」と語った。

ダイアモンド氏は「AIの影響を2年、3年、5年というスパンで見ることに安心感を覚える」とした上で、「AIはインフレ抑制にとって非常にプラスの要素となり、世界経済の生産性向上の面でも極めて重要になるだろう。一部の投資家は現在のバリュエーション(企業価値評価)に戸惑っているようだ」と語った。
同氏はまた、財政支出の拡大によって各国政府の債務残高が膨らんでおり、これが市場に垂れこめる「暗い雲」となっていると述べた。米国の恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は24を超え、投資家の警戒水準とされる20を上回ってこの1カ月で最高水準に達している。
原題:Goldman’s Waldron Sees More Market Pullback, Subprime Loan Risk(抜粋)
(第9-13段落にアポロのローワン氏などの発言を追加します)
--取材協力:Avril Hong、Andy Clarke、Joanne Wong.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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