19日の日本市場では財政悪化への懸念から長期金利が17年ぶり、20年債利回りは26年ぶりの高水準を連日で更新した。円は対ドルで2月以来の安値付近で推移した後、日本銀行の植田和男総裁と片山さつき財務相らが会談することを受け、介入警戒から155円台前半にやや上昇。株式は午後に弱含み、4営業日続落となった。

債券・為替市場では経済対策の裏付けとなる今年度補正予算の規模が膨らむことへの警戒から、「日本売り」への懸念がくすぶっている。この日行われた20年国債入札は最低落札価格が市場予想を下回り、弱めの結果となった。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、20年債入札は「やや弱め」だったとし、週末に閣議決定される経済対策を巡る不透明感が強く、債券は売りが出やすい地合いが続くだろうと述べた。

債券

債券相場は下落(利回りは上昇)。財政悪化が懸念される中、20年債入札が弱い結果となったことも重しとなった。

入札結果によると、最低落札価格は98円30銭と、市場予想98円60銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は31銭と、前回の13銭から拡大した。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、20年債入札は弱い結果と指摘。きのう超長期ゾーンの利回りがスティープ(傾斜)化し、きょうは中期ゾーンの金利も上昇しており、「全体的にイールドカーブが切り上がる中で買いづらさがあった」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円は対ドルで強含み。9カ月ぶりの安値圏での推移が続く中、午後に行われる日銀の植田総裁と片山財務相、城内実経済財政担当相の3者会談で、円安について話し合われる可能性が警戒され、一時155円21銭まで買われた。

SBI FXトレードの上田真理人取締役は、介入警戒感から円が買われているが、3者会合は「円安に対する懸念を共有する程度で、日銀の年内利上げを許容するような結果にはならない」と語る。為替介入もボラティリティーが上昇しているわけでもないため、難しいと指摘。米国の年内利下げにより「ドルが一本調子で上がることはないものの、もう少し上昇する」と予想した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長も、政府による為替介入への警戒感は要人発言の内容から判断する限り、まだ「本格化しているとは言い難い」とし、市場は政府の許容水準を探りながら「その先を試しに行きたくなる段階にある」と述べた。155円台でドルの下値が固まれば、年末に160円をタッチする可能性もあるとみている。

株式

株式は反発した後、午後に売りが膨らんだ。ソニーグループや日立製作所など電機の主力株が下落に転じたほか、機械や精密機器などが安い。ソフトバンクグループなど人工知能(AI)関連の一角も上げ幅を縮めた。

大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、米エヌビディア決算を控え「投資家は態度を決めかねている」とし、AI関連株が午後の相場の重しになったと話す。ただ、エヌビディア株は移動平均線上でも過熱感に乏しく、決算が予想通りとなった場合は関連銘柄の「調整は一服する」との見方を示した。

中国が日本産水産物の輸入停止を日本政府に通達したと報じられ、回転ずしチェーン「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIESやニッスイなども下げた。

半面、小売りや医薬品、不動産などは高い。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、株価の変動性が小さいセクターに資金を退避させる動きがあり、小売りが選好されていると述べた。

財政への警戒もじわり広がっている。大和アセットマネジメントの建部和礼チーフストラテジストは、債券市場で財政拡大懸念がじりじり高まる動きが続くと、株式にもマイナスの影響が波及してくるだろうと指摘。円安傾向が続けば、日銀が本来の想定より速いペースで通貨防衛的に利上げするシナリオも見えてくるとし、そうなれば日本株にネガティブだと話した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花、日高正裕、石川英瑠.

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