(ブルームバーグ):19日に行われる20年利付国債の入札に対し、市場関係者は需要が低調となるリスクを警戒している。高市政権が近く経済対策を発表する予定で、財政支出の拡大に対する不安が投資家心理の重しとなり、買い手が敬遠する可能性があるためだ。
超長期ゾーンを中心に今週の債券相場は下落(金利は上昇)が続いており、新発20年債利回りは1999年以来の高水準に達した。高市早苗首相の経済対策が国債増発を通じてさらなる金利上昇を招き、日本の政府債務負担を一層重くさせるとの懸念が背景にある。
18日の取引で20年と30年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、bp=0.01%)上昇。40年債も一時8bp上昇し、2007年の発行開始以来の最高水準を更新した。東京市場での急激な金利変動は欧米市場にも波及する傾向が見られ、世界の投資家も日本の動向を注視せざるを得ない状況だ。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、20年債入札について「金利水準は十分に高いものの、財政懸念が一番大きく、積極的な買いは見込みにくい」と予想。入札が弱い結果になれば、午後の債券相場が一段安になる展開に警戒感を示す。
入札結果は19日午後0時35分に発表され、市場関係者は需要の強弱を示す入札倍率に注目している。前回入札時の入札倍率は3.56倍で、過去12カ月の平均は3.3倍だった。
自民党有志による「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は18日、経済対策の裏付けとなる補正予算の規模を25兆円とするよう高市首相に求めた。今週発表された日本の国内総生産(GDP)が前期比でマイナス成長となり、積極財政派の主張を後押しする格好となっている。
米ゴールドマン・サックス・グループは、想定を上回る大規模な経済対策への懸念が投資家の間で強まり、期間が長めの国債と円に圧力をかけ、日本の財政リスクプレミアムが再び顕在化する可能性があるとみている。来週26日には40年利付国債の入札も控えており、足元の債券市場は様子見ムードが広がりやすい状況だ。
--取材協力:山中英典.
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