チェコの富豪カレル・コマーレク氏が出資するスイスの宝くじ運営会社オールウィンが、米アトランタのギャンブル関連企業への過半数出資を進めるための16億4000万ドル(約2500億円)の資金をコミットした銀行が、売れ残ったローン債権を自社バランスシート上に抱えることになった。

オールウィンは、ユーザーが選んだ実在選手の試合成績を予測して勝敗を競うファンタジースポーツを運営するプライズピックスの過半数株を取得しようとしている。

事情に詳しい関係者によると、選別を強める信用市場の反応は厳しく、機関投資家から集められた資金は10億ドルにとどまった。不足分を補うため、ゴールドマン・サックス・グループ、ドイツ銀行、バークレイズ、BNPパリバが自社資金を投入し、最終的に5億ドルのローン債権をバランスシートに抱え込む形となった。

堅調とみられていた買収ファイナンス市場での販売不調からは、同市場が神経質になっていることがうかがわれる。年初からごく最近までは、投資家からの需要が旺盛で、調達は総じて順調だった。そうした状況の中で銀行は、M&Aの復調を背景に積極的に案件を組成していた。

事情を知る複数の関係者によると、銀行団はプライズピックスへの出資資金を賄うこのローンについて、投資家からの需要が殺到すると見込み、全額引き受け型で融資契約を結んだ。しかし、発行体のオールウィンが比較的知名度の低いスイス企業だったことや、ESG(環境・社会・ガバナンス)の方針でギャンブル関連を投資対象から除外する機関投資家が多かったことから、結果的に銀行自身が需要不足を補わざるを得なくなったという。

銀行は通常、買収案件に先立って全額引き受け型の融資を約束し、買い手に確実に資金が調達できることを保証する。その見返りとして高額の手数料や保護条項を得るのが一般的だ。

しかし、オールウィンはこれよりも手数料が低いバックストップ型融資を確保した。事情に詳しい関係者によると、銀行団はそれでも、全額引き受けベースでコミットした。融資債権をシンジケートして数週間以内に販売できると見込んでいたためだ。低い手数料で高いリスクを負ったことになる。

特に、レバレッジドバイアウト(LBO)ローンでは銀行が市場環境の変動に応じて金利などを柔軟に調整できるフレックスと呼ばれる仕組みが通常だが、今回の契約にはこの条項が盛り込まれなかった。フレックスがない場合、銀行は取引条件を投資家にとって魅力的にするため、自らの利益を削って調整せざるを得なくなる可能性がある。

格付けがダブルBのタームローンBについて、銀行団が利益を削って条件を引き上げたかどうかは明らかでないが、最終的にベンチマークに250ベーシスポイント(bp)上乗せ、額面1ドルに対して98セントでの発行で決まった。当初のガイダンスは225-250bp上乗せ、発行価格99セントだった。

さらに、銀行団は5億ドルをタームローンAとして提供した。タームローンAは通常、投資家に販売せず銀行が保有する。残る1億4000万ドルは、オールウィンが既存の回転信用枠から調達した。

オールウィン、ゴールドマン、ドイツ銀、BNPパリバ、バークレイズはいずれもコメントを控えた。

原題:Fantasy Sports Gamble Leaves Banks on Hook for Unsold Loans (1)(抜粋)

--取材協力:Julius Domoney.

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