与野党が消費税減税を衆院選の公約に盛り込むとの観測が強まり、日本市場では財政がさらに悪化するとの警戒感から債券が下落(金利は上昇)基調を強めた。株式は主要株価指数が下げる中、食料品の軽減税率が現行の8%からゼロになれば、需要が増えるとの期待で食料品株が逆行高となった。

国会議事堂

衆院が解散・総選挙となれば、国民生活を苦しめている物価高対策が重要な争点となることは必至で、有権者を引きつけるために消費税の取り扱いについて与野党双方が言及する可能性は高まっている。一方、減税が実施されると国債増発を含む新たな財源の手当てが必要で、特に債券市場の動揺が大きくなった。

19日の債券市場で新発30年国債利回りは前週末比10.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3.585%と過去最高を更新。10年債のほか、20日に入札を控える20年債の利回りも1999年以来の高水準を記録した。40年債も2007年発行開始以来の過去最高水準となった。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、与野党ともに衆院選に向け消費減税を主張していることで、債券市場は財政規律維持に対する望みを失いつつあり、金利は一段と上昇する可能性があるとの認識を示す。

高市早苗首相は19日に記者会見する。衆院解散を表明し、公示日や投開票日、解散の理由などを説明する予定だ。自民党の鈴木俊一幹事長は18日のNHK番組で、日本維新の会との連立政策合意に明記した2年間の時限的な食料品消費税0%を選挙公約に盛り込むかとの問いに対し、議論中と発言。立憲民主、公明両党が結成した新党「中道改革連合」も消費減税を打ち出すとの見方が出ている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストも、衆院選を前に財源や政権の枠組みが見通しにくく、選挙結果が出るまで金利は不安定な動きが続きやすいと予想。衆院選では自民党が単独過半数を取れば、財政を拡大しやすいと指摘した。

株式は、トランプ米大統領が米国のグリーンランド領有に反対する欧州諸国に対し関税攻勢を仕掛けた海外発の要因でリスク回避の動きが鮮明になり、日経平均株価は一時800円以上下げた。こうした中でも、軽減税率が期間限定で実施されれば、需要を後押しするとの期待で食料品株などが相場全体に逆行して上昇した。

山崎製パンの株価が一時前週末比7.4%高と2025年8月以来の日中上昇率を記録。味の素も6%高と急伸し、イオンなど小売り大手も高い。東証株価指数(TOPIX)33業種の上昇率トップは食料品で、小売業も上位に並んだ。

りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、食料品関連株は生活に直結する減税の可能性を好感していると分析。新党発足も受け選挙結果を巡る不確実性が台頭する中、「ディフェンシブ性も選好されている」と言う。

一方、富国生命保険の佐藤篤有価証券部長は、衆院解散と消費減税の動きで長期金利の上限が見通しづらくなってきており、「財政懸念が今後も拡大するとの見方が株式市場にも重しとなっている」と話した。

外国為替市場の円相場も、トランプ米大統領の対欧州の関税賦課表明を背景にリスク回避の円買いで一時対ドルで157円台前半まで上昇基調を強める場面もあったが、次第に上げ幅は縮まってきた。下期以降の円安加速の背景には積極財政による財政悪化懸念もあっただけに、予断を許さない状況だ。

みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、日本の通貨当局による口先介入と、グリーランドを巡る米欧間の対立激化によるリスクオフでドルは上値の重い展開が続きそうと予測。半面、消費減税の可能性が高まっていることは財政悪化懸念を強め、円安圧力との見方も示している。

(全体を再構成し、相場状況を更新)

--取材協力:日向貴彦、堤健太郎、上野英治郎.

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