(ブルームバーグ):米国史上最長となった政府閉鎖がようやく終結に向かっているが、連邦政府機関の業務再開には数日、場合によっては1週間以上かかる可能性がある。通常業務が完全に戻るまでには時間を要しそうだ。
連邦職員の給与システムを再設定し、数週間分の未払い賃金を支給する必要がある。40日余り滞っていた補助金の支払いや問い合わせ対応などの業務も、早急な再開が求められる。環境許認可や労働安全検査、契約関連業務なども各政府機関で大幅に遅れている。
政府機関再開に向けた作業は予算関連法案が議会を通過し、トランプ大統領が署名するまでは正式に始められない。上院で可決済みの法案について、下院は12日夕にも採決を行う見通しだが、議会の動き次第では多くの政府機関の業務再開が14日、あるいは週明け17日までずれ込む可能性がある。
連邦政府当局者は、政府閉鎖に伴う一部の制限措置が当面残る見通しだとして、注意を呼びかけている。ダフィー運輸長官は12日、政府再開後1週間以内に航空輸送の制限を解除する方針を示した。時期的には、感謝祭の大型連休を控えたタイミングにあたる。

連邦政府職員は未払い賃金を受け取ることになるが、各機関は給与計算の再処理に時間がかかる可能性があると警告している。2019年に制定された法律では、政府閉鎖の解除後、可能な限り早い時期に職員へ全額を支払うことが義務づけられている。
しかし、2019年の政府機関の再開後、航空管制官が未払い分をすべて受け取るまでにおよそ2-2カ月半を要したと、全米航空管制官協会のニック・ダニエルズ会長は明らかにした。
ダフィー運輸長官は、今回はより迅速に対応すると約束。政府再開から24-48時間以内に航空管制官に未払い賃金の70%を支給し、残りは約1週間後に支払う予定だと記者団に語った。
補助的栄養支援プログラム(SNAP、旧称フードスタンプ)も通常運用に戻るが、実際の給付処理には時間がかかるとみられている。
閉鎖の後遺症
今回の政府閉鎖の影響がどの程度長引くかは省庁や機関によって異なり、見通しは立てにくい。各機関は業務停止や再開の手順を定めた非常時対応計画を策定しているが、多くは数日程度の閉鎖を想定しており、6週間に及ぶ長期停止は想定外だった。
政府機関の業務再開にあたっては、職員がまずコンピューターの再起動や郵便物の整理、1カ月以上閉ざされていた窓口の再開など、内部の復旧作業に追われる見通しだ。
政府閉鎖では経済統計の公表も中止・延期され、新たな物価や雇用のデータが収集されなかったため、政策判断に必要な情報が欠落し、今後の景気予測がゆがむ恐れもある。
経済全体や家計への打撃も大きい。アナリストの試算によると、閉鎖が続いた1週間ごとに米経済の損失は100億-150億ドルに上ったという。給与の後払いなどで一部は取り戻せるが、エコノミストらは今回の長期閉鎖による損失のすべてを回復するのは難しいとみている。政府閉鎖
原題:Shutdown’s End Kicks Off Long Process of Rebooting US Government(抜粋)
--取材協力:Miranda Davis、Jarrell Dillard、Erik Wasson.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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