(ブルームバーグ):米議会上院は10日夜、連邦政府の閉鎖を終わらせるためのつなぎ予算案を賛成60、反対40で可決した。史上最長を更新している政府閉鎖の終結に向けて大きく前進した形だ。
その後、共和党下院幹部のエマー議員の事務所は声明で、下院は上院が可決したつなぎ予算案を12日に審議する見通しだと発表した。最初の表決は早ければ東部時間午後4時(日本時間13日午前6時)に行われる可能性があり、複数回の表決が見込まれるという。
41日間に及ぶ政府閉鎖により、給与の支払いが停止されている連邦職員の間で不満が高まっているほか、航空便の混乱や食料支援の後れも深刻化していた。
法案は下院での可決を経て、トランプ大統領に送付され、署名を得る必要がある。トランプ氏は法案に対して支持を表明している。
上院での最終表決に先立ち、中道派の民主党議員が手続き上の表決で賛成に回ったことが可決を後押しした。トランプ氏は「民主党の十分な支持を得ている」と述べ、迅速な政府再開への見通しを示した。
共和党のジョンソン下院議長は、上院が法案を可決した場合、36時間前の予告をもって下院を招集するとした上で、速やかに可決されるとの見通しを示した。
下院の保守強硬派グループ「自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」のハリス会長が条件付きで支持を表明したことも、下院での可決の追い風となっている。
法案には農務省、退役軍人省、食品医薬品局(FDA)、軍事建設プロジェクト、議会運営などへの9月30日までの予算が含まれている。また、政府機関の大半に対する1月30日までの予算も確保される見込みで、政府閉鎖中に給与が支払われなかった連邦職員への給与支払いや人員削減禁止が盛り込まれている。
もっとも、長引く政府閉鎖を受けて混乱が広がっている航空便の運航が平常化するまでには数日を要する。補助的栄養支援プログラム(SNAP、旧称フードスタンプ)の給付再開にはさらに時間がかかる見込みだ。政府機関全体でも再開後に業務の遅延などが予想される。
民主党中道派は、共和党が12月中旬までに上院で医療保険制度改革法(オバマケア)の保険料補助金の延長に関する採決を行うという約束を条件に、政府閉鎖終結に向けて合意した。ただし、上院での可決に賛成する共和党議員が十分に集まる保証はない。また、ジョンソン氏は下院での採決を約束しない考えを示している。
先の地方選に勝利し祝賀ムードに包まれていた民主党内からは激しい反発が起きている。カリフォルニア州のニューサム知事は今回の合意を「情けない」と一蹴。イリノイ州のプリツカー知事も、合意における共和党側の譲歩を「空約束」と痛烈に批判した。
民主党のウォーレン上院議員は「これは大きな過ちだと思う。米国民はわれわれが医療を守るために戦うことを望んでいる」と述べた。
同じく民主党のジェフリーズ下院院内総務も政府再開の合意内容を批判し、下院民主党は支持しない方針を示した。
原題:US Shutdown Nears End as Senate Passes Deal, House Still to Act、House Plans Wednesday Vote on Senate-Passed Bill to End Shutdown(抜粋)
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--取材協力:Derek Wallbank.
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