(ブルームバーグ):企業向けローンを裏付けとする債券のうち、最もリスクの高いエクイティー部分への投資家が受け取る分配金が現在、過去5年間で最低水準に落ち込んでいる。ドイツ銀行が指摘した。一部の投資家は全く分配を受け取っていない状態にある。
借り入れコストが数年来の低水準にある中で、これらローン担保証券(CLO)の中央値ベースで見たエクイティー分配金は年率換算で12.1%となり、2020年以来最低を記録したと、同行ストラテジストのコナー・オトゥール、ジェイミー・フラニック両氏が10日のリポートで指摘した。
ジャンク(投機的格付け)級企業による借り換えが今年に入り相次ぎ、CLO組成による利益余地を圧迫している。クレジットの質への懸念がくすぶる中で利益縮小の動きが生じている。
フラニック氏は、26年にかけてローンの再プライシングがCLOの分配金を引き続き押し下げると予想しており、大きな売りが出ない限りこの傾向は続くとの見方を示した。
フラニック氏はインタビューで、「市場が依然、ソフトランディング(軟着陸)に向かっており、労働市場も堅調で、ローンやCLOの価格設定がタイトな状況なら、こうした状態は来年も続くように感じられる」と述べた。
「ただ、マクロ環境が少し変化して景気が軟化し、ローンの再プライシングが進むと考えるなら、CLOエクイティーは再び非常に魅力的に見えるだろう」と語った。
ドイツ銀のリポートによると、10-12月(第4四半期)に入りCLOのエクイティー投資家に分配を行っていない案件も多数存在する。このグループの中では、裏付けとなるローンの20%余りが平均で1ドル当たり80セントを下回る水準で取引されている。
こうした案件の大部分は、リセットの機会を失い、ローン収益の再投資期間を既に過ぎた古いビンテージのCLOとされる。これらのCLOエクイティーの推計平均価値はマイナスとなっている。
フラニック氏は「比較的ニッチではあるが興味深いのは、少し漂流しているようなこの一群の案件だ」と述べ、「基本的に清算価値が水面下にある」と指摘した。
リポートによれば、CLOエクイティー全体の平均純資産価値(NAV)は額面の約45%で、1年前の48%から低下している。
トランプ米大統領が4月に関税措置を示した際にレバレッジドローンが一時的に売られたものの、その後回復した。ただ、最近のファースト・ブランズ・グループやトライカラー・ホールディングスの経営破綻が債券市場に打撃となり、ブルームバーグ・グローバル・レバレッジドローン指数は10月に2年ぶりのマイナスリターンを記録した。
両アナリストはリポートで「NAVの低下により、現在の環境で清算された案件は、4月の売りやその後6月まで続いた回復局面を除けば、過去1年間のほとんどの時期よりも平均して低いリターンしか得られない」と指摘した。
両アナリストによると、CLO運用会社の大半が10-12月期の業績指標を既に報告しており、エクイティー分配金は6四半期連続で減少する見通しだ。今四半期のCLOエクイティー分配は中央値で2.6%と、7-9月(第3四半期)の2.7%からわずかに低下している。
原題:Riskiest CLO Securities Offer Lowest Payouts in Five Years(抜粋)
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