クオンツ運用大手AQRキャピタル・マネジメントの共同創業者クリフ・アスネス氏は、米株式市場は歴史的にみて割高な水準だが、バブルと呼べるほどではないと指摘した。

ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、市場で最も割高な銘柄と最も割安な銘柄との格差は現在、歴史的に見て約75-80パーセンタイルの水準にあり、これは過去の約4分の3の期間より広いことを意味すると述べた。同氏は割安株に投資するバリュー投資戦略の指標として、この格差に言及することが多い。

「投資家は多くの人気銘柄に通常より高い価格を支払っている」と指摘。「これは一般的にみれば、バリュー投資にとって有利なシグナルだ」とする一方、「まだうまく機能していないが、バブルの水準にあるとは言えない」と語った。

クリフ・アスネス氏がブルームバーグテレビジョンで語る

ただ市場全体では、景気循環調整後のシラーPER(株価収益率)が高水準にあり、個人的に「やや神経質になっている」とも述べた。

今回の発言は、技術が急速に進歩する中で高水準のバリュエーション(株価評価)をどう解釈すべきかという投資家の幅広い議論を反映するものだ。バリュエーション格差は依然として大きいものの、バリュー投資など、そうした状況を利用して利益を上げる戦略はまだ成果を出しておらず、人工知能(AI)ブームや個人投資家の資金フローにますます左右される市場で、従来のシグナルが通用するのかが問われている。

AQRは、バリュエーション格差など多様なシグナルを組み合わせたコンピューターモデルに基づいて株式やクロスアセットの先物を取引する。同社のマルチ戦略ファンド「エイペックス」は年初来リターンが7-9(第3四半期)末時点で15.6%。株式選択やトレンドフォロー戦略が寄与した。

アスネス氏は、自身のキャリアの中でバブルと断じたのは2回だけだったと振り返った。1回目はドットコム時代、2回目は「恐らく1年早かったが、2019年」だという。

「バリュエーションが非常に高いから暴落につながるとは限らない」とする一方、「失望の多い10年が訪れるかもしれない」と語った。

原題:AQR’s Cliff Asness Sees Expensive Stock Market But No Bubble(抜粋)

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