(ブルームバーグ):ホンダは7日、今期(2026年3月期)営業利益計画を前期比55%減の5500億円に下方修正した。半導体不足やアジアでの販売減の影響などで四輪事業は通期でも営業赤字になる見通しで、ホンダはコスト削減など抜本的な対策に着手する。
ホンダの発表資料によると、今期の四輪世界販売台数を334万台と従来見通しから28万台引き下げた。ホンダは世界でトップシェアを持つ二輪事業に比べ、収益性で大きく見劣りする四輪事業の立て直しが課題となってきた。
藤村英司最高財務責任者(CFO)は オランダの半導体メーカー、ネクスペリアの出荷停止や米国関税の影響などで四輪事業は今期大幅な赤字になるとの見通しを明らかにした上で、「かなりの危機感を持って会社として対応していく」と述べた。

貝原典也副社長は、特に立て直しが必要なアジアではラインアップの見直しをして商品力の高いモデルに集中することなどで「台数の底上げを図っていく必要がある。特に今の現状に合わせた固定費の適正化、それは早急に進めていく必要があるという認識だ」と述べた。
貝原氏によると、中国ではホンダの電気自動車(EV)は人気が高い自動運転支援機能の有無などから競合他社より割高となっており、当初25年内に発売を予定するとしていた中国市場向けEV「イエ」シリーズの第2弾モデルは延期して企画レベルから見直しをする考えという。
北米で生産調整
半導体不足の影響について貝原氏は、北米の工場で10月27日以降生産調整を行っていることを明らかにした。半導体出荷の状況が改善しているとの情報もあり、現時点では11月21日の週に生産再開できる見通しだという。
ホンダが今回下方修正した通期の営業利益計画はブルームバーグが事前に集計したアナリスト予想平均値(8688億円)を大きく下回った。
ホンダの決算資料によると、従来の見通しとの比較では関税影響が緩和されたほか、為替の追い風も受けるものの半導体不足が通期の営業利益に1500億円のマイナス要因となり、予想を引き下げた。通期の想定為替レートは1ドル=145円と従来見通しから5円円安方向に見直している。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、「通期計画の下方修正は、規模が大きくサプライズ」とした上で、半導体不足の影響や関税影響のリカバリーなどを保守的に織り込んでいるとみられるが、短期的にはネガティブに見られる恐れがあると述べた。ただ、第2四半期決算では悪材料を最大限織り込んで通期計画のハードルを下げ、今後上方修正する余地を残したとみることもできると述べた。
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