プライベートエクイティー(PE)投資大手EQTのペール・フランゼン最高経営責任者(CEO)は、個人投資家からの資金獲得競争に警鐘を鳴らし、PE業界の信頼を損ねる恐れがあると指摘した。

運用資産拡大が本質よりも優先され、投資を伴わないリテール向けやウェルスマネジメント向け商品による資金調達が横行することが最大の懸念だという。

「できることなら、プライベート市場の大手各社が長期的かつ責任ある形で個人投資家に向き合うようにしたい」と、同氏は先月のインタビューで語った。

近年、機関投資家の一部はプライベート資産投資に慎重になったり同資産クラスへの配分枠の上限に達したりしている。また、PE業界は投資の出口(収益化)確保にも苦戦しており、投資家への資金還元が滞って新規ファンドに資金が回りにくい。

このため、多くの運用会社が個人投資家からの新規資金調達に目を向けている。リテール投資家からは、交渉力の大きい年金基金や保険会社に比べ、高い手数料収入を得られる場合もある。

一方、大口投資家側からも懸念が出ている。機関投資家を代表する団体であるインスティテューショナル・リミテッド・パートナーズ・アソシエーション(ILPA)は今週公表した報告書で、リテール資金の拡大が投資規律やPE各社による機関投資家ファンドへの注力度に影響し、利益相反を生む恐れがあると警告した。

フランゼン氏は、個人投資家から資金を募る際にも、機関投資家向け商品でのデューデリジェンス(投資審査)と同水準の厳格な基準を適用すべきだと業界に呼びかけた。

原題:EQT Chief Warns Private Equity’s Pursuit of Retail Cash Is Risky(抜粋)

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