米軍は中国とロシアの情報収集・警戒監視・偵察(ISR)衛星を一時的に妨害する新兵器2種類の実戦配備に近づいている。これにより、米国防総省は3種類の対宇宙能力を確保する。米宇宙軍の最新データで明らかになった。

「メドウランズ」と「リモート・モジュラー・ターミナル」と呼ばれる新兵器は、2020年に運用開始が宣言された大型通信妨害装置「カウンター・コミュニケーションズ・システム(CCS)」に加わる形となる。

新兵器は世界各地に分散して配備され、場合に応じて遠隔操作も行われる。米軍当局者は宇宙空間での中国の脅威拡大に対し以前より強い警戒感を示しており、新システムはこうした脅威に対抗する狙いがある。

宇宙軍が9月に更新した「宇宙脅威ファクトシート」によると、7月時点で中国は約1200基の衛星を運用しており、うち510基超が光学やマルチスペクトル、レーダー、電波センサーを搭載したISR衛星だ。人民解放軍はこれら衛星を使い、米空母や遠征軍の動向を把握できるという。

米国防総省がこうした宇宙能力に言及する機会は少ないが、そうした際には衛星妨害技術の目的が防衛かつ限定的だと主張している。一方、米国によると、ロシアは高高度電磁パルス(HEMP)で衛星を破壊し通信網全体を遮断し得る核兵器の開発を進めている。

米非営利団体セキュアワールド財団で宇宙安全保障・安定性分野を統括するビクトリア・サムソン氏は、今回の宇宙軍の声明について、米国がこれまでに配備を公に認めた攻撃型の対宇宙システムは一つだけだったが、今回で三つになったと指摘。これら装置は「即時の軍事的ニーズに対応するものだが、使用してもレッドラインを越えたとも、宇宙での戦闘状態を意味するともみなされない」と分析した。

原題:Space Force to Use Three Jammers to Blunt Chinese Satellites (1)(抜粋)

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