(ブルームバーグ):ユーロ圏のインフレ率はやや低下したが、引き続き2%を上回った。金利を据え置いた欧州中央銀行(ECB)の判断が正しかったことを裏付けた格好になる。
ユーロ圏の10月のインフレ率は前年同月比2.1%と、ブルームバーグが調査したエコノミスト予想の中央値と一致した。前月は2.2%だった。
価格変動の大きい項目を除いたコアインフレ率は2.4%で予想に反して前月から変わらず、注目度の高いサービス価格の上昇率は3.4%に加速した。

ECBは30日、インフレ率を中期で目標付近に維持するには現在の政策設定が適切との判断から、主要政策金利を3会合連続で2%に維持した。政策発表後の記者会見でラガルド総裁は、インフレ見通しの評価は概ね変わっていないが、依然として通常よりも不確実性は高いと説明した。
今週発表された国別のデータを見ると、スペインで物価圧力が強まり、ドイツも予想されたほどインフレ率は低下しなかった。一方、フランスとイタリアのインフレ率は引き続きECBの目標を大きく下回った。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イェルク・クレーマー氏は、「一見すると、ユーロ圏のインフレ問題は解決したように見える」と述べつつも、「根強いコアインフレは、ECBの追加利下げに反対の論拠を提示している」と指摘した。
ECBは、来年にインフレ率が一時的に2%を下回った後、2027年には再び目標付近まで加速すると予測している。12月に公表される最新の四半期見通しには、初めて28年の予測が盛り込まれる予定で、追加緩和の必要性をめぐる議論が再燃する可能性がある。
とはいえ、ECB政策委員らは動きを取る理由は現時点でほとんどないと示唆している。ラガルド総裁は「金融政策の観点から見て、我々は良い立ち位置にある」と述べた。
原題:Euro-Zone Inflation Dips Closer to 2% as ECB Holds Rates (1)(抜粋)
(第4段落以降に情報を加えます)
--取材協力:市倉はるみ、Joel Rinneby.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.