(ブルームバーグ):日本銀行の植田和男総裁は30日、金融政策運営について、日銀の経済・物価見通しが実現する確度が上がる中でも「もう少しデータなどを確認したい」と述べた。金融政策決定会合後の会見で語った。
植田総裁は、消費者物価について、基調的な物価上昇率が緩やかに上昇するという中心的な見通しに沿って推移していると指摘。新たなに示した経済と物価の見通しは、いずれも前回7月から大きく変わっておらず、「中心的な見通しが実現する確度は少しずつ高まってきている」と述べた。
今会合では、政策金利を0.5%程度に据え置くことを7対2の賛成多数で決定。前回に続き高田創、田村直樹両委員が反対し、0.75%程度への利上げを提案した。現状維持への反対票は前回から増えなかった。
ブルームバーグがエコノミスト50人を対象に実施した調査では、利上げ時期について、今会合での予想は10%にとどまっていた。次回12月会合は50%で、来年1月までは98%とほぼ全員が想定している。
高市早苗首相が金融緩和や需要超過の経済をつくり出す「高圧経済」を志向しているとされる中、金融政策が一定の制約を受けるとの見方が市場で出ている。日銀の政策対応が遅れて後手に回るリスクも意識されている。
植田総裁は、会合で現状維持に反対した委員の1人から、利上げが遅れて後手に回るリスクが指摘されたことを紹介。その上で、「現状ビハインド・ザ・カーブに陥る懸念が高まっているとは認識していない」と語った。利上げの是非やタイミングは現時点で予断を持っていないとも述べた。
(植田総裁の発言の詳細を追加して更新しました)
--取材協力:梅川崇、氏兼敬子、横山恵利香.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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