韓国サムスン電子は、7-9月(第3四半期)の半導体部門の利益が80%増と予想を上回る伸びを記録したと発表した。世界的な人工知能(AI)需要が同社の中核事業の回復を支えていることが示された。

SKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーと競合する同部門は、来年は次世代の高帯域幅メモリー「HBM4」の量産に注力すると明らかにした。HBM4は米エヌビディアのAIアクセラレーターと連携して動作する設計となっている。

サムスンは、SKハイニックスと同様に、AI分野での旺盛な投資が今四半期から来年にかけても続くとの見通しを示した。サムスンの株価はソウル市場で5%余り上昇した。

韓国最大の企業であるサムスンは、AI機能を強化するメモリー分野でSKハイニックスに主導権を奪われた失策からの立て直しを図っている。オープンAIやメタ・プラットフォームズなどの企業が大規模なAI向け計算能力を確保しようとする中、サムスンは激しい競争に再び挑む構えだ。

サムスンは2025年に向けて総額47兆4000億ウォン(約5兆円)の設備投資を計画し、生産能力の拡充とアップグレードを進める。

サムスン電子はAIメモリー分野でSKハイニックスやマイクロンに追いつこうとしている

7-9月の半導体部門の営業利益は7兆ウォンと、アナリスト予想平均の4兆7000億ウォンを大幅に上回った。サムスンの中核であるメモリー事業は「HBM3E」の販売好調で四半期として過去最高の売上高を記録した。

同社は今月14日に発表した暫定ベースの決算でも堅調な業績を示していた。30日の発表によると、純利益は12兆100億ウォンと、アナリスト予想の9兆2900億ウォンを上回った。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、若杉政寛氏と岡野拓洋氏は「サムスン電子の営業利益率は、半導体部門が寄与することで、第4四半期にさらに拡大する可能性がある。半導体部門の利益率は第2四半期の1.4%から第3四半期には21.1%に改善した。DRAMおよびNAND型フラッシュの販売価格は上昇しており、第4四半期には販売数量も増加が見込まれる。スマートフォン用プロセッサーの受注増でファウンドリー事業も改善する可能性がある」と述べた。

AI分野での投資熱は、サムスンが支配的な地位を持つ汎用(はんよう)メモリー製品の需要にも波及している。同社株は年初来で約90%上昇しているが、AIメモリーでリードするSKハイニックス株は同期間で3倍以上となっている。

 

原題:Samsung’s Chip Profit Soars After AI Fuels Demand For Memory (1)(抜粋)

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