岸田総理は防衛費の増額の財源に充てるため、今後5年間で最大年間1兆円余りの増税による国民負担を求めると明言しました。

岸田総理は来年度から5年間の防衛費を43兆円と大幅に増額する方針ですが、来年度は増税せずに歳出改革やコロナ対策予算の不要分の返納などで賄い、2027年度にむけて複数年かけて段階的に増税の実施を検討すると明らかにしました。

また、岸田総理は最終年度である2027年度以降について毎年4兆円の追加財源が必要だと述べ、そのうち3兆円については歳出改革や剰余金の活用、税外収入を活用した「防衛力強化資金」を新たに創設し賄うとしました。ただ、残りの1兆円余りについては国民の税制で協力をお願いしなければならないと明言しました。

岸田総理
「約1兆円強については国民の税制でご協力をお願いしなければならないと考えております」

岸田総理は家計に配慮し、個人の所得税の負担が増加する措置は行わないとしました。

岸田総理はこの増税について、税目や実施時期を含め検討するよう与党の税制調査会に指示しました。

一方、岸田総理が増税を指示した政府与党政策懇談会では、自民党の萩生田政調会長が現段階で増税について議論することに慎重な姿勢を示したことが分かりました。

関係者によりますと、懇談会で自民党の萩生田政調会長は「増税なき増税議論をなぜするのか」と述べ、来年度は増税を行わない方向となっているなかで、今、増税に向けた議論を行うことに疑問を呈したということです。萩生田氏は、これまでも防衛費増額の財源について「1、2年は国債でやむを得ない」などと述べていました。

ただ、懇談会の終了後、公明党の山口代表は「国債は将来世代に負担が回るため、きょうの総理の指示の趣旨に合わない」と述べ、国債を財源とすることには否定的な考えを示しました。

与党内で意見の相違が浮き彫りとなった形で、今後の調整は難航も予想されます。