「育った環境は児童虐待にあたる」弁護人は情状酌量求める構え

そして、2年にもおよぶ公判前整理手続きを経て迎えた初公判。

山上徹也被告
「すべて事実です。私がしたことに間違いありません。法律上どうなるかは、弁護人の主張に委ねます」

山上被告は罪状認否で、起訴内容をすべて認めました。

弁護人は、「母親が自殺した夫の生命保険金などをつぎ込み、億単位の献金を行うなどしたため、旧統一教会にのめり込む母親と、被告の兄や祖父が激しく対立し、家族は分断を深めていた」と指摘しました。

そのうえで、「徹也さんが生まれ育ってきた環境は児童虐待にあたる」として、こうした主張を宗教社会学者への証人尋問などを通じて立証し、情状酌量を求めていく構えを見せました。

一方、検察は冒頭陳述で…

検察官
「元総理大臣、現役の国会議員が白昼堂々、大勢の聴衆が見守る中で、手製の銃で殺害されたという、戦後史に前例を見ない極めて重大な結果をもたらした」

そのうえで、母親の旧統一教会への信仰が事件の背景にある点は認めつつも、被告の動機や犯行を厳しく糾弾しました。

検察官
「被告が失望感や挫折感、不遇を自己責任とみなされる憤りがつのり、それらを母親が所属する宗教団体に向けようと考え、事件に至った。不遇な生い立ちを抱えながらも、犯罪に及ばず生きている人も多くいる。生い立ち自体は、被告に対する刑罰を大きく軽くするものではない」

裁判は初公判を含め計16回行われ、山上被告の母親や妹も証人として出廷する予定です。判決は2026年1月21日に言い渡されます。