事件の背景にあるものは“宗教”だけか

小川彩佳キャスター:
山上被告の母親は「献金だけが原因ではない。事件の後、旧統一教会への信仰心がより強くなった」と取材に答えているということです。

小説家 真山仁さん:
「自分の信仰が足りなかったから息子が事件を犯した」というのは、信者の方、宗教に強く帰依している人が、そういう発想をされる場合はあると思います。

私がひとつ気になるのは、事件が起きたときの背景です。つまり本当に宗教だけの問題だったのか。今の日本の政治を見ていると、何となく政治が混乱し始めるきっかけの頃が、あの事件の頃かなというのがあります。

長い間ずっと彼の中にあった鬱屈が弾けたトリガーは、それ(宗教)だけだったのか、というのはずっと考えています。何かもっと他の因子があって、複雑なものが絡んで起きた事件で、社会的に必然だったのではないかというような。

あれからずっと日本の政治は、普通では考えられないサプライズが次々起きています。

だからそういう意味では、メディアが(事件を)宗教や旧統一教会だけのせいにするのは、まだ早いのかなという気がしています。

小川キャスター:
複合的に繋がっている一つ一つを、丁寧に紐解いていこうという姿勢も必要ですね。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」