日経平均株価がついに5万円の大台を突破しました。「高市トレード」と呼ばれる投資行動は加速しているのでしょうか?折しも今週は日米両中央銀行が金融政策を決める重要な一週間。日銀は政策金利を据え置くことが濃厚な一方、FRBは利下げに踏み切ることが確実視されています。今回の「The Priority」、大和証券チーフエコノミストの末廣徹氏が強気相場の実情、そして両中央銀行が抱えるジレンマを深く分析しました。

「高市トレード」は本物か—株高でも金利低下の"健全な上昇"

高市政権の発足後、株価は上下動を繰り返してきましたが、週明け27日は取引開始直後から上昇気流に乗り、終値でついに5万円の大台を突破しました。

この株高について末廣氏は「高市トレードという見方もありますが、実は財政拡張的な動きは見えていない」と指摘。その一つの理由に安倍政権で総理秘書官を務めた今井尚哉氏の内閣官房参与への起用を挙げます。今井氏は「最大の仕事は反大蔵省軍団と対決だった」という言葉を残し、財政規律に理解のあるされており、末廣氏は「無難な立ち上がりになりそうという認識が広がっている」と分析します。

そして末廣氏が注目すべきと指摘するのは30年金利と円相場の動き。通常、財政拡張への懸念が強ければ円安加速とともに長期金利も上昇するはずですが、現在は30年金利がむしろ下がり気味です。

また、日銀の政策金利の影響を受ける短中期金利は、利上げ観測を背景に相対的に高い水準を維持しています。

「長期金利が下がって短期金利が上がるイールドカーブの『フラットニング』(長短金利差の縮小)が起きている。高市トレードなら『スティープニング』(長短金利差の拡大)になるはずなので、本当に健全な株価上昇と言えるかもしれない」との見解を示しました。