かんぽ生命保険は2025年度下期の国債投資に慎重なスタンスで臨む。野村裕之執行役・運用企画部長が明らかにした。

27日の運用説明会で野村氏は「利回り曲線全体に金利上昇圧力がかかっており、4月の上期運用説明会の時より慎重に見ている」と述べた。10年金利は日本銀行の利上げを織り込み、年度内に想定レンジの上限である2%に向かっていくことは「当然ある」としている。

4月時点で長期債と超長期債を5000億円、外債など他の資産からのシフトで5000億円、最大1兆円を買い入れるとしていた。野村氏によると、上期は前者の枠で2500億円程度買い入れたが、後者は「米金利がそれほど低下しなかったので大規模なシフトは行っていない」とした。

野村氏は超長期債投資について「割安な水準では買っていくが、冷静に待ち構え、焦る必要はない」と語る。為替相場は当局による警戒が弱い場合には円安方向に「加速するリスクがないわけではない」と指摘。次の日銀の利上げは年末か年始を想定した上で、急激な円安やインフレの加速を避けるため、今後も政策金利の「大幅な実質マイナスは修正していくべきだ」と話した。

生保各社は低利回り時に買い入れた国債の多くが金利上昇により含み損になっている。保有債券の時価が取得価格の50%を下回って回復の見込みがない場合、評価差額を有価証券評価損として計上する減損処理が会計基準で定められている。

かんぽ生命の野村氏は、上期末時点で減損会計に抵触する債券は保有していないと言う。減損処理を回避するため一部の生保は低利回りの国債を売却し、相対的に高利回りの国債を購入する「入れ替え」を積極化している。野村氏は上期の入れ替えは3500億円程度行ったとしている。

日経平均株価が初の5万円台に乗せた日本株については「高市政権の誕生を受けた高揚感があり、日本経済の転換を先取りしている可能性もある」と述べた。先行きも「調整は当然あるだろうが、堅調な展開を見込んでいる」と話す。

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