(ブルームバーグ):住友生命保険は2025年度上期に含み損が大きくなった保有公社債の一部で減損処理を行った。一方で、超長期債を含む日本国債の残高は年度を通じて数千億円積み増す。増田光男執行役員兼運用企画部長が27日の下期運用説明会で明らかにした。
同社の公社債の含み損は9月末で1兆9900億円と3月末に比べ4700億円拡大した。保有債券の時価が取得価格の50%を下回って回復の見込みがない場合、評価差額を有価証券評価損として計上する減損処理が会計基準で定められている。
同社広報によると、減損処理を行った公社債は国債ではないという。生命保険会社の間では、減損処理を避けるため簿価の水準に回復するまで保有する「保有継続」措置を取る動きが中堅を中心に複数見られるが、増田氏は保有継続の有無は「コメントを控える」とした。
増田氏は「下期は超長期金利が大きく上昇するとはみていないため、減損処理の規模はさほど大きくはならない」と述べた。経営の健全性については「全く問題ない」としている。
生保各社は、低利回り時に買い入れた国債の多くが金利上昇により含み損になっている。最大手の日本生命は、低利回りの国債を売却して相対的に高利回りの国債を購入する「入れ替え」を積極的に行うことで減損処理を回避する方針だ。住友生命は一部減損処理を行う一方、大規模な入れ替えは行っておらず、大手生命の間で対応が分かれている。
巨額の資産を運用する生保の投資判断は世界の市場を動かす可能性があり、市場の関心は高い。
増田氏は超長期債を含む日本国債について「上期に数千億円単位で残高を増やした」と説明した。下期は償還が多いため残高は減少する見通しだが、年度を通じては数千億円規模で増加する。保有国債の入れ替えは「数百億円規模で行っているが、数千億円という大がかりな規模では行っていない」と言う。
日本銀行の次回利上げは12月がメインシナリオで、26年度以降は年1回ペースで到達金利は1.25%を想定している。金利の見通しについて増田氏は「高市政権の下で財政拡張懸念は一定程度抑制されており、ピークを打った可能性がある」と指摘。日経平均株価が5万円に到達した株価については「いったんは調整を迎える可能性が高いが、26年度以降も堅調に推移する」との見方を示した。
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