米政府は、米投資会社オリオン・リソース・パートナーズおよびアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系ファンド(SWF)、ADQと共同で、重要鉱物に投資する新たな基金を設立した。トランプ政権は資源の供給網で中国の支配的地位に挑もうとしている。

オリオンが23日に発表した声明によると、3者が表明した初期の出資額は計18億ドル(約2750億円)。最終的に総額50億ドルを目標にしているという。米国際開発金融公社(DFC)の出資は、世界各地で鉱物の確保を進めるというトランプ米大統領の戦略の重要な一歩となる。

ブルームバーグ・ニュースは9月、DFCとオリオンが共同基金設立に向け協議中だと報じていた。

トランプ政権は銅、コバルト、レアアース(希土類)など戦略的に重要な鉱物へのアクセス強化を優先課題の一つに掲げている。これら鉱物は防衛産業やエネルギー移行に不可欠とされる。西側諸国では、中国の供給網支配と投資不足への懸念から、将来的な確保を不安視する見方が広がっている。

声明でDFCは「オリオン・クリティカル・ミネラル・コンソーシアム」の共同設立について、米国および同盟国が「将来の経済成長と安全保障を支える重要鉱物に関し安全で責任ある強靭(きょうじん)な供給網を構築する」のを支援すると指摘した。

DFCの最初の出資額は、オリオンとADQが運用するファンドの出資と同額。声明によれば、コンソーシアムは初期段階にある探鉱プロジェクトより、「既存または生産間近の資産への投資」を優先する方針だ。

オリオンのオスカー・ルノウスキー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、新基金で検討中の具体的案件は明らかにしなかったが、中国関連案件は対象外だと述べた。さらに、他国やSWF、民間企業、米政府機関など新たな出資者を募っていると説明した。投資対象は供給網の上流および中流分野の事業で、製錬への投資も含まれる可能性がある。

原題:US, Orion Form Critical Minerals Fund Targeting $5 Billion (2)(抜粋)

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