トランプ米大統領は、サンフランシスコに連邦軍を派遣する計画の中止を明らかにした。ソフトウエア大手セールスフォースの最高経営責任者(CEO)を務める米富豪マーク・ベニオフ氏やエヌビディアのジェンスン・フアンCEO、サンフランシスコのルーリー市長と話した後、判断した。

トランプ氏はベニオフ氏とフアン氏の名前を挙げ、「現地に住む友人たちが派遣をやめるよう求めてきた。従って土曜日に予定していたサンフランシスコへの展開は行わない」SNSに投稿した。

この決定は、リベラル色の強いカリフォルニア州サンフランシスコとトランプ政権との間で続く緊張の著しい緩和を意味する。トランプ氏は先週のイベントで、シカゴやポートランド、ロサンゼルスに続き、「サンフランシスコにも目を向ける」よう連邦当局に強く勧めると発言し、地元コミュニティーから激しい反発を招いていた。

米税関・国境警備局(CBP)の職員100人余りが、サンフランシスコ湾を挟んだ対岸の沿岸警備隊アラメダ基地に23日に到着する見通しだった。サンフランシスコ郊外のオークランドを取り締まり対象とする可能性にも言及したトランプ氏が、ベイエリアの他の地域を標的にするかどうかはっきりしなかった。

トランプ氏の派兵計画は、ニューサム加州知事や民主党指導部から強い批判を招いた。ベニオフ氏はサンフランシスコに州兵を派遣すべきだと米紙ニューヨーク・タイムズに述べ、今月物議を醸したが、その後発言を撤回し、州兵が必要とは考えていないと釈明した。

ルーリー市長は、22日遅くに大統領から電話を受け、「サンフランシスコに連邦軍を派遣する計画を取りやめるとはっきり伝えられた」と説明した。

コロナ禍の余波で、サンフランシスコは犯罪増加やオフィスの空室、深刻なホームレス問題など都市の機能不全を象徴する存在となったが、人工知能(AI)ブームの中心地として過去1年で活気を取り戻した。犯罪発生率も急速に低下し、車上荒らしといった犯罪も大幅に減った。

同市の復調はAIブームによるところが大きい。エヌビディアの共同創業者フアン氏は、その立役者の1人だ。エヌビディアは近隣のサンタクララに本社を置き、フアン氏自身もサンフランシスコ市内に不動産を所有している。エヌビディアはコメントを控えた。

原題:Trump Cancels San Francisco Raids After Benioff, Huang Calls (1)(抜粋)

--取材協力:Ian King、Brody Ford.

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