岸田文雄元首相は23日、政府が進める資産運用立国の取り組みを加速させるため、プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドを活用した企業の買収・合併(M&A)による再編促進が重要との認識を示した。

全国銀行協会などが都内で開いたイベントで岸田氏は「産業革新投資機構(JIC)など官民ファンドの投資、出資機能を強化し、日本企業への出資を大規模、積極的に行う民間ファンドの創出、育成を行っていきたい」と述べた。

資本市場改革が急速に進む日本では、M&Aの件数が増えている。投資ファンドが関係する案件も多くみられる。官民ファンドの投資が増えれば、足元の活況をさらに後押しすることになりそうだ。

岸田氏は、大企業が経営の選択と集中を図る観点から、事業の切り出しや売却の需要が高まっていると指摘。中堅・中小企業ではオーナーの高齢化による事業承継の需要もあるとした。その上で「こうした課題を解決し、企業を飛躍させる一つの方法が、PEを通じた事業再編と経営支援だ」と強調した。

資産運用立国の促進にはこの他、企業の稼ぐ力の向上、地域企業の持続的成長と地域課題解決、全世代の国民が安定的な資産形成を行うための環境整備が重要だと説明した。稼ぐ力の向上のために「企業には自社株買いや増配だけではなく、積極的に成長投資を行ってほしい」と要望した。

岸田氏は、自民党の資産運用立国議員連盟の会長を務めている。

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.