人工知能(AI)関連銘柄として急騰してきたソフトバンクグループ、アドバンテストの2銘柄だけで指数ウエートの20%弱を占める日経平均は、9月以降世界の主要な株価指数を大幅に上回ってきたが、死角がある。AIや防衛関連株など一部の銘柄がもてはやされると同時に下落銘柄も少なくない。
市場全体の動きを反映しやすいTOPIX500指数で見ると、今月(22日時点)4.4%上昇した一方、構成銘柄のうち38%に当たる191銘柄が下落している。本格的な相場上昇が始まった7月には、TOPIX500指数の上昇は3%だったが、下落したのは全体の25%に過ぎず下落銘柄数は高水準だ。

オルタス・アドバイザーズ日本株戦略責任者のアンドリュー・ジャクソン氏は今の市場について「トランプで作ったピラミッドのようなもろさを感じる。ほんの少しネガティブなニュースが出ただけで、非常に大きな調整が入ることもあるだろう」との見方を示す。「過去20年間日本株を見てきた中で、リスクリワード(損失リスクと利益の可能性のバランス)は最も下向きだ」と言う。
市場の過熱のもう一つの兆候が、取引銘柄の集中度合いだ。みずほ証券の波多野紅美シニアクオンツアナリストによると、出来高上位10銘柄の取引が市場全体のどの程度かを示す先導株比率は20日移動平均ベースで直近42%に達しており、歴史的高水準にある。過去20年の平均である31%を10%ポイント強上回る。
このところ活況なのは、オープンAIへの投資でAI銘柄の中心的存在になりつつあるソフトバンクGのほか、半導体検査装置のアドバンテスト、電線メーカーのフジクラなどのほか、防衛関連の三菱重工業などがある。

強気筋の間では、高市政権が今後経済対策を策定することを見据え、上げ相場は広がりを持つようになる、との見方もある。高市首相は初閣議では物価高への対応などを柱とする総合経済対策を策定する方針を表明した。
とはいえ、これまでの上昇ピッチの速さも警戒感を強める一因となりそうだ。日経平均は200日移動平均を20%上回る水準で取引されている。近年、移動平均からのかい離が20%を超えると、その後は調整局面に入ることが多かったとして、楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは警戒感を示す。「短期的には過熱圏にあり、少なくともスピード感の調整は行われるだろう」という。

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