(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、ホワイトハウスの「イースト・ウイング(東棟)」を全面的に取り壊し、敷地内にボールルーム(舞踏室)を建設することを明らかにした。当初の計画を上回る大がかりな工事となり、その規模が物議を醸している。
トランプ氏は22日に記者団に対し、「世界最高の建築家らと実に多くの検討を重ねた」結果、東棟を取り壊すのが最善と判断したと説明。既存の建物が舞踏室建設計画の妨げになる可能性があるとして、「適切に進めるには、建物を撤去せざるを得なかった」と語った。
ホワイトハウス内にもっと大きなもてなしのスペースがほしいと長く訴えてきたトランプ氏は、8月に舞踏室建設計画を公表。工事による「既存の建物への影響はない」としたほか、従来の建築様式を「全面的に尊重する」と説明していた。

総工費は当初、約2億ドル(約305億円)と見積もられていた。しかし、トランプ氏はこの日、費用が3億ドルに膨らんだと明かし、寄付者を含む「数人の友人と私」が全額負担すると表明した。
ホワイトハウスの高官1人が22日に匿名を条件に語ったところでは、今回のプロジェクトは近代化の一環で、解体作業は数日内に完了する見通しだ。同高官は計画が変更されたとし、解体には構造的および安全保障上の理由があるとしている。
今週に入り東棟が解体される写真が出回ったことで、工事に批判の声が上がっている。
ナショナル・トラスト・フォー・ヒストリック・プリザベーション(NTHP)は21日付の書簡で、「舞踏室建設計画について法的に義務付けられた公的審査が完了するまで解体を一時停止するよう」政権に要請。「新設部分の規模がホワイトハウス本体を圧倒しかねない」との懸念を表明した。

プロジェクトの透明性を疑問視する声に対し、トランプ氏は「非常に高い評価を受けている。これまでの誰よりも透明性が高いと思う」と反論した。
計画では、舞踏室は床面積9万平方フィート(約8360平方メートル)、収容人数650人が見込まれていたが、トランプ氏は今週に入り最終的に収容人数が999人になると語った。
ホワイトハウス敷地内でのプロジェクトに民間寄付者が関与することについて、利益相反の可能性も懸念されている。
トランプ氏は先週、プロジェクト推進に向け資産家や企業幹部をホワイトハウスに招いた。出席者には、米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ブラックストーンのスティーブ・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)、米エネルギー大手コンチネンタル・リソーシズの共同創業者ハロルド・ハム氏、暗号資産(仮想通貨)で財を成したタイラー、キャメロン・ウィンクルボス兄弟らが名を連ねていた。
原題:Trump to Demolish East Wing to Build White House Ballroom (1)(抜粋)
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