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アムンディは、高市新政権下で政府の借り入れが拡大するとの懸念から、期間が長めの日本国債利回りが今後数カ月で再び過去最高水準を更新する可能性があると予測している。

欧州最大の資産運用会社アムンディの調査部門であるアムンディ・インベストメント・インスティテュートの新興国マクロ戦略シニアストラテジスト、クレア・ファン氏は、30年国債利回りは3.5%を上回る可能性があるとみている。これは22日の水準より約40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い水準となる。

21日に首相に選出された高市早苗氏は、かねてより日本の経済成長を促すための政府支出を支持しており、低金利政策の擁護者として知られている。

アジア諸国を専門とするファン氏は「財政規律への懸念が、特に中期的には強い」と指摘。「超長期債の見通しが非常に明るいとは言えず、その売りが完全に終わったとも言い切れない」と述べた。

 

政治および財政の不透明感が、日本の国債利回りを高止まりさせている。30年債利回りは今月、3.345%に達し、過去最高を更新した。日本国債は今年、世界の債券市場でパフォーマンス最下位となっている。

ファン氏は、高市氏の政策がより明確になり、物価高騰に効果的に対応できるようになるまで、投資家は長期債に戻らないと予想している。高市氏はすでに、物価高による家計や企業の負担を和らげるための新たな経済対策を指示しているが、その規模や、財源として追加の国債発行が必要かどうかについては明言していない。

インフレが鈍化すれば超長期債利回りの上昇を抑える見込みだが、ファン氏は10年債利回りが1.8%に達するリスクはあると述べた。これは、日本銀行がかつて実施したイールドカーブコントロール(YCC)政策の一環として保有してきた10年債を、段階的に減らしていく過程で起こり得ると指摘した。

高市氏が日銀による利上げをけん制するのではないかといった観測で、円相場は今月、約2.5%下落している。ファン氏は、円安が輸入コストを押し上げ、インフレ圧力を高めるため、むしろ利上げの必要性を強める要因になるとみている。

「ドル・円相場が155円を上抜け、155~160円のレンジで推移するというシナリオを想定すると、日銀が利上げに踏み切る可能性は非常に高い」と述べた。

そうした水準はすでに視野に入っている。円は10月上旬に1ドル=153円前後と8カ月ぶりの安値を付けた。日本時間23日午前7時10分時点では、1ドル=151.84円前後で取引されている。

今年中に利上げが行われるかどうかは「円相場次第だ」とファン氏は指摘した。

原題:Amundi Sees Fiscal Risks Pushing Japan 30-Year Yield to New High(抜粋)

(円相場などに関するコメントを追加して更新します)

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