世界最大級の政府系ファンド(SWF)、ノルウェー政府年金基金グローバルでは、2兆ドル(約304兆円)相当の運用資産を気候変動リスクから守る手段として、人工知能(AI)が今後重要な役割を担う。

年金基金グローバルの運営主体であるノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)は、2030年気候変動アクションプラン(行動計画)の中で、「企業との対話からのシグナル抽出」など幅広いタスクの遂行にAIを活用する方針を明らかにした。意思決定の質を高め、各チームの投資プロセスを強化することにより、気候変動対応での「勝ち組」と「負け組」の判定に役立てる。

ニコライ・タンゲン最高経営責任者(CEO)はブルームバーグに対し、「気候変動への取り組みをAIが一変させた」と指摘。「膨大な情報を即座に行動に移せる明確な洞察」に変えるために役立つと語った。

他の運用主体がAIへの過度の依存を警戒する中でも、インデックス運用を基本とする年金基金グローバルは、AIの活用を積極的に支持している。

NBIMではポートフォリオ企業とのやりとりの有効性を評価したり、議決権行使の指針となるデータを処理したり、定量的な気候スコアを算出したりする作業でAIが既に貢献している。

タンゲン氏によれば、ポートフォリオマネジャーはこの情報をトレーディングシステムで直接受け取る。「市場予想を上回るペースでより効率的に脱炭素化を進める移行勝者」の特定を助けるという。

ニコライ・タンゲン氏

原題:Norway’s Wealth Fund Unleashes AI to Root Out Climate Risk(抜粋)

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