(ブルームバーグ):英銀バークレイズは22日、自動車ローンに関連した顧客への補償費用として追加で2億3500万ポンド(約480億円)の引当金を発表した。同時に、2025年通期の業績見通しを引き上げ、5億ポンド規模の自社株買いを実施する計画も明らかにした。
追加負担について、英金融行動監視機構(FCA)が計画している補償プログラムを受け、「想定を上回る水準の顧客救済が必要になった」ことを反映したと説明した。
一方で、同行はFCAの提案内容には同意しておらず、「比例的でも適切でもない結果をもたらす」との見解を示した。
英国の大手銀行では、顧客がディーラーに支払っていた販売手数料の実態を十分に知らされずに自動車ローンを契約した問題をめぐり、数百万人規模の補償対応が進んでいる。今夏に補償対象を巡る裁判所の判断が下されたことを受け、FCAは今月初めに補償制度案を公表した。バークレイズはこれまでに9000万ポンドを引き当てていた。
追加費用が発生する一方で、同行は株主還元を前倒しする方針を示し、5億ポンドの自社株買いを実施するとともに、今後は四半期ごとに自社株買いを発表することを提案した。
業績見通しについては、有形自己資本利益率(ROTE)を従来の「11%前後」から「11%以上」に引き上げた。また、通年の純金利収入も126億ポンドへとやや上方修正した。
CSヴェンカタクリシュナン最高経営責任者(CEO)は発表文で「一貫した強固な業績が2026年以降のさらなる成長の基盤を築いた。28年までの新たな目標を、25年度通期決算と併せて発表するのを楽しみにしている」とコメントした。
7-9月(第3四半期)のトレーディング部門業績はまちまちだった。株式トレーディング収入は6億8900万ポンドで横ばいとなり、市場予想を下回ったが、債券トレーディング収入は12億6000万ポンドと予想を上回った。グローバル・マーケッツ部門全体の収入は19億ポンドで、市場予想通り、前年同期比2%増となった。
また、同行は特定顧客1社に関連する信用損失として、1億1000万ポンドの費用を計上した。顧客名は明らかにしなかった。
ヴェンカタクリシュナンCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングス関連のエクスポージャーがあると認め、それについては遺憾だと述べた。
原題:Barclays Reviewed Loan Portfolio After Getting Stung by Tricolor、Barclays Raises Car Finance Provision and Brings Forward Buyback(抜粋)
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