トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が近く開催する見通しの首脳会談は、失速する中国株式相場にどのような影響を与えるのか。ウォール街では意見が割れている。

年初から大きく上昇してきた中国株はここ数週間で勢いを失いつつある。MSCI中国指数は今月に入り約3.9%下落し、MSCIアジア太平洋指数(2.3%上昇)に大きく出遅れている。4月の米中貿易摩擦再燃以来、中国株のパフォーマンスは米国株との比較で最も低迷している。

今月下旬に予定されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われる見通しの米中首脳会談を前に、アナリストの間では、足元の株価下落を「押し目買いの好機」とみるか、それとも一段安の前触れと捉えるべきかで見方が分かれている。

強気派の一角であるバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは、トランプ・習会談や中国共産党第4回全体会議(四中全会)が上昇のきっかけになる可能性があるとして、今月末までは「リスクオン」の姿勢を維持すべきだと助言している。ゴールドマン・サックス・グループは、投資家の基本スタンスは「押し目買い」とすべきだとし、中国株は2027年末までに30%の上昇余地があるとの見方を示した。

一方、モルガン・スタンレーは慎重姿勢を崩していない。ローラ・ワン氏らストラテジストは、貿易摩擦が再燃するリスクを踏まえ、現時点での押し目買いは避けるよう警告。MSCI中国指数が10-15%下落し、貿易問題の解決に向けた明確な兆しが見られるまでは買いを控えるよう推奨している。

野村ホールディングスのチェタン・セス氏も、直近の上昇を経てリスク・リターンの妙味が薄れていると指摘した。米中関係の緊張が依然として重荷になっており、MSCI中国指数の予想株価収益率(PER)が11倍を下回る水準まで低下しなければ「意味のある投資妙味は生じない」と顧客向けリポートで述べた。ブルームバーグの集計データによれば、現時点では12.8倍前後。

トランプ氏は、次回の習主席との会談で「良い合意」が得られるとの見通しを示し、「習氏とは非常に良好な関係にある」と述べたが、期待が高まる会談自体が実現しない可能性にも言及した。

中国株の強気派にとっての最大の焦点は、次の相場上昇局面を誰が主導するかだ。個人投資家が保有する約23兆ドル(約3500兆円)の預金が緩やかな上昇相場を支えるとの期待は根強いが、これまでのところ国内ファンドや海外投資家が主要な買い手となっている。

BofAのストラテジスト、ウィニー・ウー氏は最近の投資家会議で、新興国市場を重視する投資家の多くが中国株に対して中立またはオーバーウエートのスタンスを取っていると指摘した。

原題:Wall Street Split on What Trump-Xi Talks Mean for Chinese Stocks(抜粋)

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