(ブルームバーグ):金スポット相場が急落し、12年ぶりの大幅な下げを記録した。相次ぎ最高値を更新するなど破竹の勢いだった流れから、一転して売りが優勢となっている。
金は21日の取引で一時6.3%安の1オンス=4082.03ドルをつけた。前日には4381.52ドルまで買われ、最高値を更新していた。米中通商協議の進展やドル高、テクニカル指標の過熱感に加え、米政府機関の閉鎖に伴う投資家のポジション不透明感、さらにはインドでの季節的な金需要のピーク終了といった複数の要因が重なり、相場を下押ししている。
トランプ米大統領が来週、通商問題を協議するため中国の習近平国家主席と会談する見通しとなったことで、安全資産としての金の需要は一服。急ピッチの値上がりで金の相対力指数(RSI)などの指標は買われ過ぎの領域に入っている。ドルが買われていることも、金の割高感を強めた。
同様に買いを集めてきた銀も売られ、約8%下落。銀は年初来80%近く値上がりしている。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「調整や値固めに対する懸念が高まる中で、ここ数日は警戒感が出ていた」と指摘。「相場の真の強さは調整局面でこそ試されるものだ。今回も例外ではないとみており、根強い需要が下値を支える可能性が高い」と指摘した。
米政府機関の閉鎖により、コモディティー(商品)トレーダーは重要な情報が欠如している中で取引を余儀なくされている。毎週公表されていた米商品先物取引委員会(CFTC)の金・銀先物ポジションのデータがないことで、投機筋が一方向に過度なポジションを積み上げているリスクも高まっている。
「データの欠如は微妙な局面と重なっており、投機筋による潜在的な買い持ち高の積み上がりが金・銀の双方について調整を招きやすい状態にしている」とハンセン氏は述べた。
原題:Gold Slumps Most in 12 Years as Record-Breaking Rally Cools(抜粋)
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--取材協力:Sybilla Gross.
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