フランス・パリのルーブル美術館で発生した強盗事件。周到な準備もうかがわせる中、盗まれた宝飾品は今後どうなるのか。地元の宝石鑑定士が取材に応じました。
ショーケースのそばで怪しい動きをする黄色いベストの人物。フランスメディアが報じた犯行の瞬間とされる映像です。
犯人らは32個のエメラルドと1100個以上のダイヤモンドがあしらわれた豪華絢爛なネックレスなどをわずか7分で盗み出しました。
19日午前、覆面姿の男らがルーブル美術館の「アポロン・ギャラリー」に侵入し、宝飾品を盗んだ事件。日曜日の朝に行われた大胆な犯行ですが、周到な準備をうかがわせる情報も出てきています。
記者
「ルーブル美術館の南側の通りですが、セーヌ川に面していて、比較的人通りの少ない通りになっています。犯人が侵入したのは、まさにこの場所からでした」
犯人らは商店が並ぶ北側や観光客が多い広場を避け、南側の窓を狙います。犯行グループは4人組で、作業員を装った2人が高所作業車で2階へ上がり、残る2人は地上で監視役を担っていたとみられています。
犯人らが目をつけたのは絵画や彫刻ではなく、宝石でした。ここにも狙いがあったと話す人がいます。
宝石鑑定士 アレクサンドル・レジェさん
「絵画を盗んだ場合、絵の具や木材に切り分けて売却することはできません。宝石は美術館の中で分解してもお金になる唯一の展示品です」
パリ市内で宝石などの鑑定を行っている、アレクサンドル・レジェさんです。
宝石鑑定士 アレクサンドル・レジェさん
「ダイヤモンドの問題点は、1つの古い大きなダイヤモンドでも再カットすれば現代的なカットのダイヤモンドに変えることができることです。そうなると、もう追跡できません」
また、レジェさんはこれらの宝飾品が持つ歴史的な価値は計り知れないと言います。
宝石鑑定士 アレクサンドル・レジェさん
「これらは特別な歴史を持つ宝石で、皇后やフランス王妃たちが所有していたものです。このような窃盗犯が宝石や宝飾品の歴史に情熱を持っているとは思えません。彼らは目先の利益のためなら、ためらいなく宝石を分解するでしょう」
一方で、ルーブル美術館の警備体制の不備を指摘する声も上がっています。現地メディアによりますと、現場は本来6人で警備にあたるはずのところ、4人しかいない時間帯もあったということです。
ルーブル美術館の職員
「運営は私たちの警告をことごとく無視してきました。そして、恐れていたことが起こったんです」
職員らの組合も声明で「警備員が減らされ、関連する設備への資金も十分に拠出されなかった」と主張していて、事件の波紋が広がっています。

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