トランプ米大統領は、米英豪3カ国による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」について「全速力で前進」させると宣言した。バイデン前政権時代に発足したAUKUSを巡っては、トランプ氏の返り咲き後に不透明な扱いが続いていたが、同氏が支持を明確にした形だ。

トランプ政権は今年、AUKUSの見直しを発表しており、英豪側では破棄されるのではないかとの懸念が高まっていた。しかし、中国への対抗策としてオーストラリアに原子力潜水艦を供与する計画は、米国の軍事資源をアジアにより集中すべきだとする政権内の一部高官の考えと一致しており、AUKUSはトランプ氏が撤回しない数少ないバイデン前政権の取り組みとなりそうだ。

トランプ氏は首都ワシントンでアルバニージー豪首相と会談し、「かなり前に決まったが、誰も何もしなかった」と発言。「進行が遅過ぎた。今は始動した。全て整っている」とし、「全速力で前進させる」と強調した。

AUKUSは、経済力および軍事力を拡大する中国をインド太平洋地域で抑止する目的で2021年9月に署名された。2本柱で構成され、一つは通常兵器を搭載する原子力潜水艦のオーストラリアへの供与、もう一つは量子技術、極超音速兵器、人工知能(AI)など先端能力の3カ国間での共有だ。

オーストラリアのウォン外相は21日、豪公共放送ABCラジオのインタビューで、トランプ氏の発言を歓迎。トランプ氏は「AUKUSへの支持をはっきり示し、オーストラリアが潜水艦を受け取ると非常に明確に述べた」と語った。

原題:Trump Declares ‘Full Steam Ahead’ on Aukus in Win for Australia(抜粋)

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