欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行(中央銀行)総裁は20日、統計や中央銀行に対する国民の信頼を揺るがす行為は経済的な悪影響を招く恐れがあると警告した。

ナーゲル氏はニューヨークでのイベントで、独立性と信頼性を兼ね備えた統計は「特に中央銀行にとって極めて重要だ」と述べ、「健全な金融政策の根幹」だと指摘。

その上で、「最近、この原則に疑問が呈されている。公選の政治家が、政府の見方に合わない重要経済統計の信頼性を疑問視する発言を公然と行っている」とし、「こうした発言は重い意味を持つ。望ましくないデータを報告した当局者を交代させるのは、さらに重大だ」と述べた。

ECB政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁

トランプ米大統領は雇用統計の振るわない結果と過去データの大幅な下方改定を受けて労働統計局(BLS)局長を解任したほか、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を繰り返し批判し、クックFRB理事の解任を試みた。

ナーゲル氏はまた、経済分析ではなく政治的思惑が金融政策に影響を及ぼすことに警鐘を鳴らし、「歴史は、中央銀行が独立して行動しないと何が起きるかを明確に示している。国民の信頼の喪失、金融の混乱、そして制御不能なインフレがしばしば起こる」と語った。

原題:ECB’s Nagel Calls Reliable Statistics ‘Backbone’ of Sound Policy(抜粋)

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