(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのシクルーナ・マルタ中銀総裁は16日、ECBは追加利下げを急ぐべきではないとの考えを示した。米国の追加関税による物価への影響がまだ明らかになっていないためだとしている。
シクルーナ氏はインタビューで、米国の追加関税が「デフレ要因になるのかインフレ要因になるのかは、それほど単純ではない」と指摘。「結論はまだ出ていないが、これは非常に重要であるため、結論を急ぐべきではない」と述べた。
また、今月末の会合での政策金利変更を見込んでいないものの、新たな四半期経済予測など追加のデータが得られる12月の会合では「より激しい議論」が行われるとの見通しを示した。
その上で「私としては、追加利下げを支持するには説得力のある論拠が必要だ。利下げを求める人々が他を納得させる責任がある」と話した。
ECBは当初、トランプ米大統領の貿易政策を巡り、欧州連合(EU)の報復措置やユーロ安を前提に、一定のインフレ効果が生じると見込んでいた。ただ実際にはそうした展開は起きず、最近ではむしろ追加関税が景気の重しとなりデフレ圧力をもたらす可能性が意識されている。
一方、ECB政策委員会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁は今週のインタビューで、中国によるレアアース(希土類)輸出規制強化が世界経済に波及すれば、ユーロ圏で物価上昇圧力が再び高まる恐れがあるとの認識を示している。
原題:ECB’s Scicluna Says Price Effects of US Tariffs Still Unclear(抜粋)
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